能登半島地震 高岡教会の会員同士が心を通わせ

氷見市の倒壊した建物を前に言葉を失う青年・学生部員たち

富山県で被害の大きかった氷見市などを包括する立正佼成会高岡教会は、1月1日の発災直後、荒川公男教会長を中心に、会員への避難の呼びかけと安否確認を行った。同日16時12分に発令された津波警報を受け、県内の海岸沿いに住む多くの会員が避難指示に従い高台に逃げた。避難した会員の中には高齢会員もおり、家族と支え合って高台を目指した。

地震による甚大な被害が出た氷見市の氷見法座所では、大型の家具が倒れ、床は割れたガラスや物で散乱。駐車場の地面に多数の亀裂が入った。同教会は断水が発生した氷見支部と伏木支部の会員を対象に教会と中部教区の4教会の備蓄水を届けたほか、入浴設備を開放するなど被災した会員の生活を支援した。

氷見市を包括する支部長たちは、氷見法座所に参拝に来た会員に、被災の状況や胸の内を聞くことで安心してもらえたらと、「どうだった?」「大丈夫?」と耳を傾け、寄り添った。心の内を吐き出せた会員は少し緊張がほぐれた表情で帰っていった。同教会支部長(61)は、「被害の大小にかかわらず恐怖心は誰もが持っています。震災後、信者さん一人ひとりの無事を確認し、顔を見るたびにつながりの大切さを実感しました」と語った。

被災した会員は「私のところは一日だけの断水でしたが、水が飲めない、トイレが使えない、その事実だけで急に食欲が湧かなくなり、生きる元気が失われていくようでした。まだ断水が解消されていない地域もあるので節水していきたい」と話した。

また、28日には、同教会の青年・学生部員が、自分たちが住む富山県の被災状況を知ろうと被害のあった氷見支部を訪れた。当日は、自宅が液状化の被害を受けた男性会員(64)=同教会一食貢献副委員長=や、うつ病や統合失調症など精神障がいがある被災者の支援に当たった一般社団法人「美海」の能浦美穂子代表理事に話を聞いた。その後、建物の倒壊など被害の大きかった氷見市姿地区を視察した。

学生部員(14)は「ニュースでは能登半島の被災状況は見ていたけど、実は富山の被害はあまり知らなくて……。今回の視察で現状を知り、他人事ではないんだと驚きました。今後、ハザードマップを見るなど、防災対策の意識を高めていきたい」と話した。