内藤麻里子の文芸観察(55)

澤田瞳子さんの『のち更に咲く』(新潮社)は、こんなに自由に平安時代を描くのかと、驚きを禁じ得ない王朝エンターテインメントである。歴史の裏にあったかもしれない秘密に、藤原道長邸に仕える女房が迫る。次から次へと現れる謎、ミステリアスな人間ドラマから目が離せない。

続きを読む

利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(84) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

悪事露呈の時代

自民党の政治資金パーティー裏金問題は国民の失望を招いている。衆議院に続いて、参議院でも政治倫理審査会が開催されたが、ほとんど新しい事実は明らかにならなかった。そこで、野党4党は証人喚問を要求し始めた。これは、当然だろう。

続きを読む

内藤麻里子の文芸観察(54)

テレビで観(み)るだけだが、実はバレーボール観戦が大好きだ。ミュンヘン五輪で金メダルを取って以降、長く低迷した全日本男子の試合も、忍の一字で放送されれば必ず観続けてきた。最近は世界に伍(ご)して闘う力をつけ、本当にうれしい。そこで手にしたのは、坪田侑也さんの『八秒で跳べ』(文藝春秋)である。

続きを読む

能登半島地震 高岡教会の会員同士が心を通わせ

富山県で被害の大きかった氷見市などを包括する立正佼成会高岡教会は、1月1日の発災直後、荒川公男教会長を中心に、会員への避難の呼びかけと安否確認を行った。同日16時12分に発令された津波警報を受け、県内の海岸沿いに住む多くの会員が避難指示に従い高台に逃げた。避難した会員の中には高齢会員もおり、家族と支え合って高台を目指した。

続きを読む

本会一食平和基金から見舞金 能登半島地震で被害受けた北陸3県に

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)は先ごろ、能登半島地震で被害を受けた石川、富山、新潟の1県8市5町に計3000万円の緊急支援(見舞金)を決めた。

続きを読む

佼成出版社から新刊 『現代「神道」講座――寛容と共生のこころ』藤本頼生・著

本紙で連載した國學院大學・藤本頼生教授の寄稿が書籍になりました。

続きを読む

光祥次代会長がインド訪問 サルヴァジナ・ピータ聖座交代式に参列

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際共同議長を務める立正佼成会の庭野光祥次代会長は1月17日から19日まで、インド南部のカルナータカ州ウドゥピを訪れ、WCRP/RfP国際共同会長でヒンドゥー教指導者であるスリ・スリ・スグネンドラ・テールタ・スワミジ(スワミジは聖者の意)のサルヴァジナ・ピータ聖座(シュリ・クリシュナ寺院のトップ)への交代式(Paryaya=パリヤーヤ)に参列した。本会から和田惠久巳総務部長、根本昌廣参務が随行した。交代式には、WCRP/RfP国際共同議長のヴィヌ・アラム博士(シャンティ・アシュラム会長)も出席した。

続きを読む

内藤麻里子の文芸観察(53)

雫井脩介さんの『互換性の王子』(水鈴社)は、不思議な手触りの小説だ。後継者争いと商品開発が絡む企業小説なのだが、一般的に企業小説と聞いてイメージする作品とは一線を画す。恋愛小説、家族小説としても読めるウェルメイドな物語になっている。

続きを読む

館山教会で「寿デー」 地域の過疎化・高齢化を受け 教会の持ち味生かす

教会の特色を生かしたい――そんな願いのもと、立正佼成会館山教会は昨年2月から毎月、「寿デー」を開催している。毎回、65歳以上の高齢会員が教会道場に集い、折句作りや曼荼羅(まんだら)の塗り絵などを通して交流を深めている。

続きを読む

内藤麻里子の文芸観察(52)

2024年最初の1作は、音楽ミステリーを取り上げたい。逸木裕さんの『四重奏』(光文社)である。音楽を含めた芸術というものを我々は理解できているのかという命題を掲げ、理知的でありながら音楽のパッションにあふれた上質なミステリーになっている。

続きを読む