内藤麻里子の文芸観察(36)
「ラップバトル」をご存じだろうか。時々テレビで放送していることもある。「ラッパー同士が、即興のラップで相手を『ディス』り合う――つまり罵倒し合う」ものだ。宇野碧さんの『レペゼン母』(講談社)は、こんな若者文化を使った、笑えて泣ける家族小説になっている。2022年の小説現代長編新人賞を受賞したデビュー作である。
揺れ動くバチカン、ロシア、ウクライナの関係(海外通信・バチカン支局)
ロシア正教会モスクワ総主教区外務部長に就任したアントニー・ヴォロコラムスク大主教が8月上旬、バチカンを訪問し、4日に同市国外務局長のポール・リチャード・ギャラガー大司教、5日にはローマ教皇フランシスコと面会した。
現代を見つめて(75) 情報へのアプローチ 文・石井光太(作家)
情報へのアプローチ
いつの頃からか、メディアがウクライナ難民を報じる機会が大幅に減った。半年前には連日にわたってその姿が映し出されてきたのに、最近はウクライナのニュースすら流れない日もある。
イラクで今年10月に国際諸宗教対話会議を開催(海外通信・バチカン支局)
イラク外務省はこのほど、今年10月に首都バグダッドで「第3回国際諸宗教対話会議」を開催すると公表し、その概要を同国のニュースサイト「アル・モニター」が8月11日に報じた。
共生へ――現代に伝える神道のこころ(18) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部教授)
地域に根付いた地名と神社の関係 歴史や伝統を後世に残す努力を
地域神社の調査をするために市街地を歩いていると、時々、細い路地に出くわすことがある。こうした路地や谷の行き詰まりを、三重県南部の方言では「世古(=せこ。瀬古)」と呼ぶ。同県内の市町村には「世古」に由来する「大世古」「瀬古口」「小世古」といった地名があり、人名では「世古」さんという方もいらっしゃる。特に市街地に世古の多い伊勢市では近年、世古を活用したまちづくりのためのワークショップが行われるなど、地名の持つ意味とその奥深さには、いまだに驚かされることが多い。
教皇がカナダ先住民の若者に対してスピーチ(海外通信・バチカン支局)
ローマ教皇フランシスコは「世界の先住民の国際デー」にあたる8月9日、「世界の先住民の持つ、家庭と共同体に対する純粋な感覚がどれほど貴重なことか。若者と老人との間で絆を培い、全被造世界(自然)との健全で調和した関係を保全していくことが、どれほど重要なことか」とツイートした。
忘れられた日本人――フィリピン残留日本人二世(1) 写真・文 猪俣典弘
「フィリピン人を殺しに来たのかい?」
1995年11月、立正佼成会青年本部(当時)から青少年育成、地域開発のボランティアとしてバターンキリスト教青年会(BCYCC、フィリピン)に派遣された私は、赴任して間もないある晩、通りがかりの老婆にこんな言葉を投げかけられました。
えっ、これも仏教語!?(65) 【だつらく】脱落
「あのチームはついに優勝戦線から脱落した」「共同闘争からの脱落者が相次いだ」などと用いられています。もともとは禅宗でよく用いられる語で、意味はまったく違い、我(が)を捨て去るとか、自己を忘れるという意味です。