イラクで今年10月に国際諸宗教対話会議を開催(海外通信・バチカン支局)

イラク外務省はこのほど、今年10月に首都バグダッドで「第3回国際諸宗教対話会議」を開催すると公表し、その概要を同国のニュースサイト「アル・モニター」が8月11日に報じた。

同国際会議は、イラク政府と、国内のイスラーム・シーア派、同スンニ派、キリスト教、マンダ教、ヤジディ教の代表機関とバチカン諸宗教対話評議会が協力して開催するもの。2013年、17年にも挙行され、「イスラーム国」(IS)を名乗る過激派組織などによって宗教的に分断された国家情勢の中、「平和、和解、一致、協力、共存」の確立を目的としている。

イラク外務省のサフィア・タレブ・アル・スハイル次官は、同会議のテーマが『新世代に適応した教育』『平和と包括的発展へ向けての道』であると明かし、「教育者たちが果たすべき平和教育の任務や、共存の文化を推進する学校カリキュラムの改訂」などについて討議する予定だと伝えた。

同会議には、上記の諸宗教の参加者だけでなく、他国の諸宗教指導者や国際機関の代表者たちも参加する。スハイル次官は、「イラク政府が憲法に従い、人権と民主主義を尊重するだけでなく、文化的、宗教的少数派の権利と基本的自由を尊重する」と発言。シーア派の代表者であるイヒサン・ジャーファル・アフメド師は、「国内シーア派の最高指導者であるアヤトラ・アリ・シスタニ師の指導の下、スンニ派とも協力しながら共通点を見いだすことで、過激派組織が破壊した多宗教、多宗派、多民族国家としての結束をイラク国内で再び強化していく」と決意を表明した。

「アル・モニター」はまた、13年に「イラク諸宗教対話評議会」が設立されて以来、セミナーや国際会議への参加などを通して諸宗教対話が推進されたことで、消滅の危機に瀕(ひん)する宗教的少数派の擁護を主導する取り組みが行われるようになっているとも報じた。

このほか、サウジアラビアの日刊紙「アラブニュース」は同11日、イスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」のアハメド・タイエブ総長が、カイロでイラクのカルデア派カトリック教会の最高指導者であるルイス・サコ大司教(バグダッド大司教)と懇談したと報じた。両師は、「イスラーム、キリスト教間の対話を継続」「宗教を語る過激派組織と、その破壊的な理念に対抗していく」ことについて合意。サコ大司教は、「イラクのムスリム(イスラーム教徒)とキリスト教徒が、タイエブ総長のイラク訪問を熱望している」と述べ、「タイエブ総長が2019年にアブダビで、教皇と共に署名した『人類の友愛に関する文書』は、両宗教間対話の道標」と示した。

タイエブ総長のイラク訪問は、イスラーム・スンニ派、シーア派間の緊張緩和という視点から国際世論の注目を集めてきた。「アラブニュース」は同日、バーレーンのハマド国王がローマ教皇フランシスコに親書を送り、同国に招待したと報道した。ハマド国王は、「教皇が諸宗教対話と諸文化、諸文明間の理解と促進の強化で決定的な役割を果たし、全ての人の間に友愛と共存のメッセージを公布している」ことを賛美しているという。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)