トルコ国民の苦しみに思いを馳せる教皇(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇フランシスコは2月16日、バチカンでトルコの駐バチカン新大使に任命されたウフク・ウルタス氏からの信任状を受理した。その席上、「トルコの高貴なる国民に対し、この(大地震で多くの犠牲者が出た)苦しみの時に、私の思いと祈りを表明する。親愛なる兄弟姉妹たちよ、私は、あなたたちの近くにいて、祈っている。友愛を込めて」と記した署名入りの記帳書を新任大使に託した。

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「アブラハム系宗教の家」の竣工式典が挙行(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇フランシスコとイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長が2019年2月、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、世界から参集した400人の諸宗教指導者(立正佼成会から庭野光祥次代会長が参加)を前に、「人類の友愛に関する文書」に署名した。その精神を実現するためのシンボル「アブラハム系宗教の家(アブラハム・ファミリー・ハウス)」の竣工(しゅんこう)を祝う式典が2月16日、同国のサディヤット島で挙行された。

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利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(71) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

個人の努力の限界を超えたコロナ感染

コロナ第8波は猛威を振るい、日本はまさに世界でもっとも感染状況の悪い国の一つとなってしまった。個人的にも、私自身も含め身近な人々が次々と感染してしまい、仕事でもあちこちでその経験を聞くに至った。この連載でも、また授業や公共的な場でも、私は感染への警戒と自粛を呼びかけ、近時は政治的・社会的に緊張感が緩んでいるので、自制を続けるように注意を喚起してきた。それだけに自分でも細心の注意を払ってきたのだが、感染拡大の勢いが周囲でもあまりにも激しく、回避できなかった。ここまでくると、個人の努力の限界を超えていると言わざるを得ない。

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忘れられた日本人――フィリピン残留日本人二世(7) 写真・文 猪俣典弘

希望の灯火

地域を支える日系人組織を目指して

前回の連載で書きましたが、フィリピン・パラワン島の残留日本人二世は77年を経て再結集し、2022年にパラワン日系人会を創立しました。侵略者の末裔(まつえい)として烙印(らくいん)を押され、長い沈黙を強いられた後、再び日系人としてのアイデンティティーを掲げて集まったのは、負の歴史を塗り替え、新しい時代を切り開きたいという切実な願いがあったからこそ。そのためには、地域に貢献できる日系人組織として活動したい――そうした強い意志を感じさせるスタートでした。

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共生へ――現代に伝える神道のこころ(24) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部教授)

古来、災禍を祓うために供えられたゆかりある各地の銘菓に目を向けて

節分も過ぎると、次は五節供(ごせっく)の二番目「上巳(じょうし)の節供」、つまり三月三日の雛(ひな)祭りの季節を迎える。この雛祭りには、古い形式の一つとして、旧暦三月三日に紙を人のかたちに切った「形代(かたしろ)」に身の穢(けが)れを託し、川や海に流すという「流しびな」の風習がある。現在も鳥取県東部の旧八頭郡用瀬町(現鳥取市)にて、藁(わら)を丸く編んだ「桟俵(さんだわら)」に男女一対の紙雛を乗せて、千代川へと流す民俗行事として継承されており、その原型は平安時代にまでさかのぼる。こうした人形に身の穢れを託して流すという事象は、神社神道では六月三十日、十二月三十一日に半年ごとの罪や穢れを祓(はら)うために斎行する「大祓(おおはらえ)」行事にも通ずる。また、五節供の日に神を迎え、供え物を捧げて災禍を祓うことは、古くから宮中の行事に取り入れられており、『源氏物語』や『枕草子』にもそうした記述をうかがうことができる。

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大人が学ぶ 子どもが自分も相手も大切にできる性教育(2) 文・一般社団法人ソウレッジ代表 鶴田七瀬

『性教育は怖い?』

第1回では、私の性教育の活動は「課題意識」からスタートしたと話しました。一般社団法人ソウレッジの活動を通して子どもたちに性教育を伝える中で、その時間がとても価値のある、豊かな時間であることを実感しています。

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内藤麻里子の文芸観察(41)

「人の振り見て我が振り直せ」を肝に銘じてきた。例えばホームビデオは他人に見せない、会社で後輩をいじめない、過去の自慢話をしない、などだ。最近は「老害」が気になっていた。そこで、内館牧子さんの『老害の人』(講談社)である。

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「宗教施設への攻撃を非難するローマ教皇と国内の諸宗教指導者」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

宗教施設への攻撃を非難するローマ教皇と国内の諸宗教指導者

ミャンマー国軍は1月15日、同国北部サガイン地方のチャンター村にある、129年の歴史を有する由緒ある「被昇天の聖母教会」(カトリック教会マンダレー大司教区所属)を攻撃し、廃虚とした。ローマ教皇フランシスコは22日、日曜恒例であるバチカン広場での正午の祈りの席上、「ミャンマー国内で最も古く、重要な礼拝所の一つであった、チャンター村の『被昇天の聖母教会』が攻撃、破壊されたことに、苦痛を持って思いをはせる」と述べた。

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現代を見つめて(80) 「唯一無二の存在」の尊さ 文・石井光太(作家)

「唯一無二の存在」の尊さ

――二一六万。

この数が何だかわかるだろうか。日本国内で大麻や覚醒剤など違法薬物を使用した経験のある人の推計だ。愛知県名古屋市の人口とほぼ同じである。

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笑トレで元気に――健康と幸せを呼ぶ“心の筋トレ”(5) 文・日本笑いヨガ協会代表 高田佳子 (動画あり)

『環境をつくる』

「人は楽しいから笑うのではない、笑うから楽しくなるのだ」。これは、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズの言葉です。だから、笑う力を鍛えていくことで、毎日が楽しくなるのです。面白いから笑うのではなく、「形から入る」笑いでも十分に、健康に、そしてハッピーな気分になれます。

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