新型コロナウイルスへの対応の中で 教えを支えに日々を過ごす会員たち(24)

国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、立正佼成会ではさまざまな集いを控えています。こうした中、会員はどのような思いで過ごしているのでしょうか。それぞれの場で精進を重ね、サンガ(教えの仲間)と心をつないでいる会員の声を紹介します。今回は、熊谷教会支部長です。

声を聞かせてほしいとの願いで

熊谷教会支部長(63歳・女性)

対面での触れ合いが難しいため、熊谷教会では昨年の「成道会」に合わせて、往復はがきに会員さんへのメッセージをしたため送る取り組みを行いました。〈あなたのことを忘れていないよ〉という思いと、〈ぜひ声を聞かせて頂きたい〉という願いを込めての試みで、私は担当支部の方に90通、その中の1通を主任さんの息子さんに送らせて頂きました。

以前、主任さんから、息子さんが20年前に統合失調症を発症し、ここ6年ほど家に引きこもっていることや、症状が安定した今は家事を手伝ってくれ、昼間は開祖さまのご著書や『法華三部経』を読んでいることを聞いていました。ただ、家族以外の人と触れ合うことで再び症状が悪化してしまうことを心配され、私が家に伺っても一度もお会いしたことはありませんでした。〈どうしたらつながれるだろう〉とずっと考えてきましたから、彼にも往復はがきを送らせて頂きたいと思ったのです。

「いつもお母さんにお世話になっています。大変な中ですが、いかがお過ごしですか?」と書いて送りました。〈返信があればいいな、そうでなくても、読んでもらえるだけでも有り難い〉と念じるような気持ちでした。すると、「手紙、ありがとうございます。自分の出来る範囲で、がんばります。また家に、お越し下さい」と返事が届いたのです。優しい人柄が伝わってくる、やわらかい字でした。思わず、はがきに手を合わせていました。

教会の方針で、今年の寒修行は朝6時に、地区ごとにお役を立て各家で行うと決まった時、すぐに彼のことが思い浮かびました。「息子さんに寒修行のお役をお願いしたい」。そう主任さんに連絡したところ、彼が常不軽菩薩品の導師のお役を誓願してくれました。

当日の朝、主任さんに電話すると、「主人がご宝前の間を温めてくれています」とうれしそうに話されます。そして、息子さんが電話で、あいさつしてくれました。初めて聞く息子さんの声でした。私はつながれたことがうれしく、胸が熱くなりました。

後日、教会を通じて、佼成新聞から一連の出来事について伺いたいとの依頼があったことを主任さんに伝えると、彼は「私と同じような苦しみを持つ人の励みになるなら、自分の経験を使ってほしい」と言ってくれたそうです。人さまの幸せを願う彼の気持ちが菩薩さまのようで、本当に有り難い気持ちになります。

彼のおかげで主任さんの家族、支部みんなの心が一つになりました。このご縁に感謝しています。