新型コロナウイルスへの対応の中で 教えを支えに日々を過ごす会員たち(45)

(イメージ写真)

新型コロナウイルスの感染拡大が続き、立正佼成会ではさまざまな集いを控えています。こうした中、会員はどのような思いで過ごしているのでしょうか。それぞれの場で精進を重ね、家族やサンガ(教えの仲間)と心をつないでいる会員の声を紹介します。今回は、福井教会壮年部長です。

自分を省みる大切さを痛感

福井教会壮年部長(66歳、男性)

昨年4月、人事異動で製品の検査を担う部署に移りました。経験したことのない業務のため、早く慣れて会社に貢献したいと思っていました。

ところが、私の指導役である年下のAさんは体調を崩しがちで、急な欠勤も少なくありません。体調不良だから仕方がないと思うものの、予定よりも仕事を覚えるのが遅れてしまい、彼を責める気持ちが湧きました。

しかし、怒りの感情を抱えたままでは良くないと感じていた時、かつて教会の幹部さんから「『法華三部経』を読誦(どくじゅ)すると、今の自分に一番大切なことに気づけますよ」と教えられたのを思い出しました。Aさんとの向き合い方のヒントを得たいと考え、朝夕に『法華三部経』の読誦を始めたのです。

しばらくして、ご供養中にAさんが黙々と仕事をする姿が思い浮かびました。読誦後、〈彼は彼なりに一所懸命仕事に取り組んでいる〉という気持ちになり、そして気づいたのです。自分にとって都合が良いかどうかで物事を判断していた私の心こそが、彼への不満の原因だったと。休みがちなことを一番悩んでいるのは彼のはずだと心配になった私は、善き縁になることを心がけました。

明るく声をかけるようにし、慣れた作業でも一緒に段取りを確認し、振り返りの時間をつくってコミュニケーションを取りました。こちらから歩み寄ることで彼も心を開いてくれたのか、家族や趣味について話してくれるようになりました。今は良い関係が築け、順調に仕事ができています。Aさんとの触れ合いを通して、ご供養と自分を省みる大切さを痛感しました。

生活の中で腹を立ててしまう場面は不意に訪れます。そのたびに、「自分本位に考えていないか」「相手の立場に立ってみよう」と言い聞かせています。こうした考え方に気づく機会を与えてくれたAさんは、私にとって仏さまだったのだと心から感謝しています。