弱小チームから常勝軍団へ~佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」クリスマスボウル3連覇の軌跡~(10 最終回) 文・相沢光一(スポーツライター)

佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」のクリスマスボウル4連覇への挑戦は終わった。結果は、惜しくも準優勝。52連勝と負け知らずで歩んできたロータスが味わった敗戦を、部員や小林監督はどう受け止めたのか。

「前を向いて、最後までしっかりやろう」

昨年12月22日、横浜スタジアムで行われた高校アメリカンフットボール日本一決定戦「第50回クリスマスボウル」は対戦相手の立命館宇治高に凱歌が上がった。

スコアは7-18。1タッチダウンを返しても追いつけない点差ではあったが、ロータスの選手たちは最後まで諦めずに戦った。流れ次第では、ロータスにも十分勝算のあった拮抗した試合展開だった。

そもそもこの一戦は、公式戦で52戦の連勝を重ねていたロータスは絶対王者として4連覇を賭けていたし、昨年のクリスマスボウルでロータスに21―0からの大逆転負けを喫した立命館宇治にとっては、その雪辱を果たさんとする一戦だった。両校の並々ならぬ思いがぶつかる気迫に満ちた試合となったのだ。

それでも立命館宇治に軍配が上がったのは、この日までの1年間の努力が実った結果だろう。立命館宇治には、前年の試合をプレーした選手も、サイドラインで見ていた選手もいた。いずれも耐え難い悔しさを味わった選手たちであり、それからの1年間、優勝と共に“打倒ロータス”の一心で練習に打ち込み、分析に分析を重ね、自らを高めてきたはずだ。そして関西を制し、関東を勝ち上がったロータスと再び対戦する機会を得た。悔しさを晴らすには絶好の舞台となったわけだ。

その気持ちはプレーにも表れていた。とくにディフェンスラインとラインバッカー(LB)の選手たちは気迫あふれるラッシュを繰り返し、ロータスオフェンスにプレッシャーをかけ続けた。その気迫はオフェンス陣にも伝わり、攻守ともに立命館宇治は高校生レベルでは完璧に近いプレーを見せた。日本一に相応しいチームだった。ロータスは、勢いに乗った立命館宇治に一歩及ばなかったが、王者としてのプレッシャーの中で堂々と日本一を賭けた試合を行っていたし、胸を張っていい戦いをしたといえる。

とはいえ、現在のロータスの選手たちにとっては入部して初めて味わう公式戦の敗戦だ。その衝撃は大きかったようで、試合終了の合図と共に、悔しさに顔を歪める選手も多かった。そんな中、キャプテンの目黒歩偉君はコート上で堂々と選手全員に語りかけた。「ここが終わりじゃない。オレたちにとっては通過点なんだ」と。そしてこう続けた。「多くの人に支えられ、こうして日本一を争う場でプレーできたことを感謝しよう。前を向いて、最後までしっかりやろう」。

最後までしっかりやろう、というのは用具の後始末や挨拶などだろう。落ち込んでばかりいないで、今やるべきことをきちんとやろうということだ。通過点を強調したのは、2年生・1年生には新チームで頑張ってもらわなければならない、3年生は卒業後、大学生活が始まる、フットボールを続ける者も、そうでない者も新たなチャレンジをするわけで、この敗戦を糧にしてほしいということだろう。

そして、感謝することも忘れない。敗戦という結果を受け止め、前に進んでいこうと呼びかけたのだ。敗戦の責任を一番感じているはずのキャプテンが、こんなことを言えるのも小林監督のリーダー育成法の賜物だろう。

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