ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(10.寝違え) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)
「体幹を鍛えることで当たり負けない体をつくる」をモットーに、佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」の全国大会3連覇に貢献したスポーツトレーナー加瀬剛氏。日頃は、接骨院の院長として、多く人のケアに当たっている。体の構造を知り、毎日をしなやかに過ごすにはどうすればいいか――体の専門家としてアドバイスする。(※ケアの方法を動画で紹介)
寝違え
朝起きた時に首を動かそうとすると痛い! 回らない!
そんな「寝違え」を、多くの方が一度は経験したことがあると思います。
その時、皆さんはどのように対処していますか?
お風呂などに入ってゆっくり温めてから、伸ばしたりしていませんか?
実は、温めてから伸ばしてしまうと、その時は痛みが軽くなった、あるいは動かしやすくなったように感じるのですが、少し時間が経つと痛みが一層強くなり、首をさらに動かせなくなってしまう場合があります。
寝違えを治すには、原因を知ることが大切です。では、なぜ「寝違え」を起こすかを簡単に説明しましょう。
多くの方は、寝ている時に左右、上下のいずれかの方向に首を曲げます。首の違和感や寝づらさを感じれば、人は自然と頭の位置をずらすか、寝返りをすることでそれを解消します。
しかし、深い眠りや無理な姿勢での睡眠により、寝返りができないままだと、首は長い時間、同じ状態になります。これは、長い時間をかけて首回りの筋肉をゆっくり伸ばして(ストレッチして)いることと同じで、筋肉が伸び切ってしまい、炎症を起こすのです。寝違えは、これが原因です。
たまに、電車やバスなどで首を左右どちらかの前方に大きく傾けながら寝ている人を見かけますよね。まさに首がねじれている格好です。「よほど疲れているんだろうな」と思う半面、「起きたらきっと首が痛くなるんだろうな」とも、同情されているのではないでしょうか。
目が覚めている時、一方に長時間、首を強く伸ばそうとしても、5分もしないうちに痛みや疲れなどを感じ、元の位置に戻してしまうと思います。しかし、寝ている時は、これが2時間も3時間もできてしまうのです。