ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(8.膝の痛み・下) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)
体重が増えると膝への負担も多くなるのは、皆さん、ご承知のことだと思います。先に説明したように、階段を上るには通常時の3~5倍の力が必要となるので、増えた体重に比例して負担もプラスされるわけです。例えば、体重が5キロ増えたとします。すると膝には15~25キロの負荷増になるわけですから、かなりの悪影響を及ぼすことは想像に難くないですよね。
「あ、自分だ」と意識された方もいるかと思いますが、体重が増えて膝が痛くなってきた場合、少しでもダイエットをするようにして、膝への負担を減らすように心がけましょう!
「分かっているんだけど」という声が聞こえてきそうですが、ダイエットはなかなか難しいものですよね(笑)。でも、ぜひ取り組んでみてください。今回はダイエットをしつつ、どの筋肉を効果的に無理なく鍛え、痛みを軽減するためにテーピングでどう補助したら良いかを説明します。
まず、階段を上る時に使う筋肉は、主に「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」と「大臀筋(だいでんきん)」です。
大腿部(もも)の前面にある筋肉が大腿四頭筋で、これは「大腿直筋(だいたいちょっきん)」「中間広筋(ちゅうかんこうきん)」「外側広筋(がいそくこうきん)」「内側広筋(ないそくこうきん)」という四つの筋肉で構成されています。
大腿四頭筋は、膝を伸ばすのに必要な筋肉で、階段を上る際に重要な役割を果たします。また、この筋肉は、お尻(臀部)にある大きな筋肉「大臀筋」と協力することで、階段を上る際の「体の持ち上げ」を可能にしています。これらの筋肉を収縮させることで膝に力が入り、身体を上に移動させることができるのです。
ですから、この大腿四頭筋と大臀筋の筋力が低下してくると、階段を上るのが不安定になります。やがて膝に“重み”を感じてくるようになります。