TKWO――音楽とともにある人生♪ トランペット・ガルシア・安藤真美子さん Vol.3

出産によるブランクを乗り越え、ガルシア・安藤真美子さんは今、育児と演奏家の両立を果たし、充実した日々を過ごす。ギタリストの伴侶と新たな音楽活動にも挑戦している。音楽への思い、そして若い人に向けた上達のための練習の秘訣(ひけつ)を紹介する。

外国で出会ったパートナー

――パートナーはアルゼンチン出身で、ギタリストの方ですね。“演奏家”だからこその出会いがあったのですか

2007年から1年間、休職し、ニューヨークに留学しました。その時に、彼が通っていたジャズ科のある学校は、私の家の最寄り駅の沿線上にあったのです。ある時、私が日本からレッスンを受けに来た友達の分と合わせて数本のトランペットのケースを抱えて地下鉄に乗り、空いた席に座ったら、隣に座っていたのが彼でした。大荷物にびっくりしたのか、「それは何?」と声を掛けてきました。トランペットよ、と伝えたら、彼は、自分はギタリストだと話してくれました。彼も演奏家だと知った私は、友達と演奏する予定の演奏会のチラシを渡して別れました。

そして、後日、彼が演奏会に来てくれました。終了後、彼から「コンサートで演奏していた曲をギターアレンジにしたいから、連絡先を教えてくれないか」と言われたので彼に連絡をしたのですが、メールの返信はありませんでした。その後、会うこともないまま、しばらく経ったある日、同じ列車で再会しました。どうもメールが届いていなかったみたいなのですが、そこから連絡し合うようになっていきました。後に、彼が日本に来るというので結婚することになったのです。

――夫婦が共に演奏家だと、互いに刺激や影響し合うことはありますか

あります。彼が演奏するジャンルはクラシックではなく、ロックやジャズ、それから彼の母国・アルゼンチンの音楽です。私はクラシックを中心とした音楽を勉強してきたので、自分が普段触れることのない音楽に彼を通して触れることができます。音楽という大きなくくりの中では一緒でも、自分が聴いたことのない音楽に触れることで、新たな発見があり、音楽って面白いなと感じています。

佼成ウインドはクラシック以外の曲も演奏します。彼に「今度この曲を演奏するんだけど」と言うと、吹奏楽アレンジではない原曲の楽譜やCDを出してくれます。同じ曲に違う面からアプローチすることができ、演奏の深みが増しますね。

また、彼と「シエンプレ・デュオ」というトランペットとギターのデュオを組んで、7年ほどになります。二人で何かできたらと始めたのですが、彼のルーツであるアルゼンチンの音楽「タンゴ」や「フォルクローレ」を演奏しています。トランペットとギターという組み合わせはあまり例がありません。自分たちで試行錯誤しながら、譜面を作ったり、パート分けをしたり、独自のサウンドを二人で模索しています。

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