共生へ――現代に伝える神道のこころ(7) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部准教授)

自然に親しみ、コミュニケーションを大切に

神社の保育園や幼稚園、認定こども園の場合、その特徴の一つとして夏・冬の大祓(おおはらえ)や七五三などの行事を神社に行って行う場合もある。しかし、多くの園では節分やひな祭り、七夕、端午の節句、クリスマスなど、いわゆる日本文化として一般に親しまれ、一般の公立保育園でも催されている年中行事が行われており、園児が特別な神社の儀礼などに接することは多くない。

ただし、全国神社保育団体連合会において作成された『神社保育要領』や『神社保育ハンドブック』などを基にした保育理念や指導要領などもあり、全く独自性が無いわけではない。前出の庄内こどもの杜幼稚園を例に保育理念の一部を紹介すると、「七歳までは神の子」と呼ばれるように大切に子供と接することが掲げられている。また、日本文化を大切にし、これに親しむことや、鎮守の森と呼ばれる神社の境内で自然に親しむとともに、人と人とのコミュニケーションを大事にした教育、保育を施すということが示されており、神道の考え方に沿った理念が掲げられている。

白幡天神社の境内にある白幡天神公園。自治会や子供会の催しにも使われ、地域住民や子供たちの憩いの場になっている(筆者提供)

少子高齢化が進む中で、神社立の保育園や幼稚園においても厳しい経営状況の園もあると聞く。しかし、何よりもこうした児童の保育、教育は地域からの信頼を得て継続されているものでもある。神社立の保育園や幼稚園の調査を行うと、どの園でも地域住民との関係性が非常に良好であることを耳にする。小生もかつて、東京・国分寺市内にある神社の社務所や境内を活用し、ニュージーランドのプレイセンター活動をモデルにして子育て支援を行っている団体の活動を事例にし、学術論文として明らかにしたところであるが、本来、神社の境内地には、氏子の子供たちを集わせる「場」としての特性、性格が備わっている。いずれにしても、元気な子供の声が今後も聞こえてくるような神社境内の「場」づくりが大事であると考える。その点でも、千葉県市川市の白幡(しらはた)天神社の鈴木啓輔宮司(故人)がかつて小生に、「子供たちが裸足で歩いて遊べるほどに境内空間を清浄に保とうとすることが大事ですよ」と述べていた意味を、鎮守の森とも称される神社の意義や社会貢献活動の在り方とともに、改めてかみしめながら本稿を執筆した次第である。

プロフィル

ふじもと・よりお 1974年、岡山県生まれ。國學院大學神道文化学部准教授。同大學大学院文学研究科神道学専攻博士課程後期修了。博士(神道学)。97年に神社本庁に奉職。皇學館大学文学部非常勤講師などを経て、2011年に國學院大學神道文化学部専任講師となり、14年より現職。主な著書に『神道と社会事業の近代史』(弘文堂)、『神社と神様がよ~くわかる本』(秀和システム)、『地域社会をつくる宗教』(編著、明石書店)、『よくわかる皇室制度』(神社新報社)、『鳥居大図鑑』(グラフィック社)、『明治維新と天皇・神社』(錦正社)など。