共生へ――現代に伝える神道のこころ(7) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部准教授)

神社が主体となって保育園・幼稚園などを運営

戦後、民生委員・児童委員を務める神職が増加したこともあり、第一次ベビーブームの時期から全国各地で、神社附属の保育園や幼稚園が開設された。宗教法人や社会福祉法人、学校法人などの運営形態は異なるものの、現在約百二十園が、いわゆる神社が主体となって運営する保育園・幼稚園として存在する。昨今の幼保一元化の流れの中では、こうした神社が運営母体の保育園、幼稚園なども、認定こども園などへと衣替えする事例も見られるようになってきた。

小生が以前調査に伺った幼保連携型認定こども園の「庄内こどもの杜幼稚園」は、大阪府豊中市に鎮座する庄内神社の境内にあり、学校法人「庄内神社学園」が経営している。学園の理事長を同社の宮司が務め、同社の神職が園長に就任している。戦後間もない昭和二十五(一九五〇)年に神社附属の幼稚園として境内の一角を使用して開園。昭和五十一(一九七六)年に同じ施設内に庄内たちばな保育園を開園し、その後、昭和五十七(一九八二)年に経営母体を宗教法人庄内神社から学校法人庄内神社学園に移管した。

平成十四(二〇〇二)年には庄内たちばな保育園が大阪府の認可を受けて、庄内幼稚園と同じ学校法人庄内神社学園の経営となり、平成二十二(二〇一〇)年に庄内幼稚園と庄内たちばな保育園が、それぞれ大阪府より幼保連携型認定こども園の認定を受けた。そのため、名称も「認定こども園庄内幼稚園」と「認定こども園庄内たちばな保育園」となったが、政府による幼保一元化の政策の変更を受けて、平成二十七(二〇一五)年に庄内幼稚園と庄内たちばな保育園が、新制度の認定こども園の認可を受けて「幼保連携型認定こども園 庄内こどもの杜幼稚園」となり、現在に至っている。以前、理事長でもある北島孝昭宮司にお話を伺った際に、新制度前の幼稚園・保育園のこども園の認可の折の府担当者とのやりとりの苦労をお話し頂いたが、何よりも境内地の片隅で子供たちが自由活発に楽しく遊ぶ姿が印象的であった。

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