『心の悠遠――現代社会と瞑想』(5) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

毎月一回、精進料理店「嘉日」で開催されている坐禅会。今年1月の同会で松原師は、縁起物とされる松、竹に関する禅語を紹介した(写真=筆者提供)

日々を大事に、今この時を生きる

2019年1月6日、新年の第一日曜日である。米・ニューヨーク市のマンハッタン中心部にある精進料理の名店「嘉日 Kajitsu」で新年の坐禅会が開かれた。京都の名店、老舗京生麩専門店「麩嘉」を母体とする嘉日さんは、その本格的なしつらえと、何よりも上質な精進会席で多くのニューヨーカーの心をとりこにしてきた。

気温マイナス5度。空気がキーンと底冷えのする朝にもかかわらず、開始30分前にはすでに参加者の半数以上が、「グッドモーニング!」とお互いに声を掛け合いながら集まって来た。毎月一回、嘉日さんで開催している私の坐禅会だ。参加者は限定22人。坐禅後の抹茶は「一保堂茶舗」さんから、お菓子は「鍵善良房」さんからご協力を頂いている。

坐禅会は10時半開始、12時終了の90分間。最初の20分は話をし、次の50分で坐禅、最後の20分はお茶とお菓子を頂きながらの質疑応答の時間としている。毎日忙しく働くニューヨークの人たちにも少し、「心穏やかに自分と向き合える時間」を創造していく機会になればと念願している。また、この取り組みが異文化理解の促進と日本文化を世界へ発信する一助になっていくことを願っている。

新年第一回の坐禅会ということで、「松無古今色 竹有上下節」(『五燈会元』)と、これに関連して「日々是好日」(『碧巌録』)という二つの禅語を紹介した。

縁起物の松や竹は、新年の床の間に飾る掛け軸によく描かれている。「松樹千年の翠(みどり)」といわれるように、松は千年万年の歳月を経てもなお緑を保ち、古葉と若葉の交代はあっても、季節にかかわらず、古今東西その姿を保ち続ける。

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