『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(27) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

画・国井 節

令和の意味とその理想を実現する道

今月になって、新しい年号の考案者と目されていた国文学者の中西進氏が「文藝春秋」に寄稿して、事実上それを認め、令和を「『麗しき平和をもつ日本』という意味だ」と解説し、「麗しく品格を持ち、価値をおのずから万国に認められる日本になってほしいという願いが込められている」と述べたという(朝日新聞5月10日付)。そうしてみると、政権の思惑を超えて人々がこの年号を用いるために先月に私が書いた「令和」の意味は、考案者の思いそのものだったということになる。

となれば次に考えるべきことは、その願いを達成する方法である。第24回に述べたように、世紀転換期にあたった平成という時代に「文明の対立」による戦火が生じた原因は、近代西洋文明の動揺・没落期にあたっていたからであり、政治経済が大混乱に陥りつつある根源は、文明の基礎にある文化的な混乱と精神性の低下にある。それを回復するためには、どうすればいいだろうか。

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