ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(6.坐骨神経痛) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)
「体幹を鍛えることで当たり負けない体をつくる」をモットーに、佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」の全国大会3連覇に貢献したスポーツトレーナー加瀬剛氏。日頃は、接骨院の院長として、一般の人々のケアにも当たっている。体の構造を知り、毎日をしなやかに過ごすにはどうすればいいか――体の専門家としてアドバイスする。(※ケアの方法を動画で紹介)
坐骨神経痛とは?
- お尻から足にかけてビリビリとした痛みがある
- 立ったり座ったりすると、お尻から足にかけてしびれてくる
- 痛みで、歩く時に足を引きずってしまう
こんな症状が出ると、心配ですぐに病院に行って診てもらいたくなりますよね。
そこで、病院に行き、レントゲンや、MRI(核磁気共鳴画像法)の画像診断を受けると、「坐骨神経痛」と診断されることが多くあります。治療は痛み止めや湿布などを処方されるか、痛みが強ければ、ブロック注射や手術を勧められるのではないかと思います。
冒頭でお伝えしたような症状との長い付き合いが始まる――そう思うと、誰もが憂鬱(ゆううつ)な気持ちになるのではないでしょうか。
今回は「坐骨神経痛」についてです。実は「坐骨神経痛」とは病名ではなく、臀(でん)部から足にかけての痛みの総称です。よって、その原因はさまざま、ということになります。
「坐骨神経」とは腰椎から出ている、体で一番太くて長い神経なのですが、この神経の“どこか”が圧迫を受け、痛みやしびれが起きているのです。症状が重くなってくると、座っていても、歩いていても痛みやしびれが生じ、歩行にも支障が出ます。また、夜中でも痛みで目が覚めてしまうケースもあるのです。
では、坐骨神経の圧迫はどのように起こるのでしょうか。
代表的な原因は、ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)です。
ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は、脊椎から出た坐骨神経の根元(神経根)を圧迫します。また、梨状筋症候群は、骨盤の内側から大腿(だいたい)骨に付着しているインナーマッスルの一つである「梨状筋」が過度に伸ばされることで炎症を起こし、その下を通っている坐骨神経を圧迫するのです。
今回は「梨状筋」が原因となる坐骨神経痛について説明させて頂きます。
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