新型コロナウイルスへの対応の中で 教えを支えに日々を過ごす会員たち(34)

国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、立正佼成会ではさまざまな集いを控えています。こうした中、会員はどのような思いで過ごしているのでしょうか。それぞれの場で精進を重ね、サンガ(教えの仲間)と心をつないでいる会員の声を紹介します。今回は、大館教会学生部員、静岡教会支部長です。

心を開くことで信頼関係が

大館教会学生部員(20歳・女性)

秋田県は高齢化率が全国1位で、最近は地域でお年寄りの生活を支える仕組みがつくられ始めています。看護大学に通う私は今年3月までの5カ月間、学生が高齢者のもとを訪ね、生活をサポートするアルバイトをしました。利用者には一人暮らしの方も多く、また、病気や老いによって身体が思うように動かせない方、インターネットの利用に苦戦している方などがいて、買い物や掃除、話し相手、パソコン操作など、さまざまな要望に応えます。私は、少しでも手助けになれるならと応募したのです。

新型コロナウイルスの感染予防対策を取りながら、どの方に対してもあいさつと、相手の話に耳をかけることを心がけ、「もう一度会いたい」と思ってもらえる触れ合いを目標にしました。自分のことも話すようにすると、アドバイスをくださったり、ご自身の体験を話してくださったりして、相手の方は心を開いてくださるのです。話が弾み、受け入れてもらえたと感じた時は、私自身がうれしくなりました。

3月には、奥さんに先立たれた方から、「話し相手に」との依頼があり、会話の時間を持たせて頂きました。相手の方はかつての仕事やそこでつかんだ人生訓について話をされ、私も学校生活での体験などを話しました。「若い人と話すのは楽しい」と笑顔で言ってくださり、有り難い気持ちになりました。

お年寄りとの触れ合いを通して、自分が心を開くことで信頼関係が築けるのだと学びました。今後も人とのつながりを大事にし、将来は、人の気持ちが分かる養護教諭になりたいと思っています。

母の思いをくんでサポート

静岡教会支部長(73歳・女性)

昨年9月、93歳の母が玄関先で転倒し、左足を骨折しました。母は数年前からアルツハイマー型認知症を発症しています。入院中、物忘れや妄想といった症状が進行したため、退院後、私は母の身の回りの世話をするために実家に戻りました。

術後ということもあり、丁寧に接していましたが、言うことを聞かない母に次第にいら立ちが募り、怒鳴るようになりました。心を整えようと介護の合間に法座に参加すると、教会長さんがいつも私の努力を讃(たた)えてくださいました。そのご指導に、葛藤しながらも母と向き合う勇気を頂きました。

母に優しくできない日もあり、私はいつも仏さまに「智慧(ちえ)をください」と念じていました。ある時、ご供養中にふと、「ありのままに生きる」という言葉が脳裏に浮かびました。思えば、術後の体が心配で、私はずっと母の行動を制限していました。自由を奪われてしたいこともできず、母はどれだけ苦しかったか。そう思った時、本人のしたいことをサポートするのが私の役目だと気持ちを切り替えられたのです。

以来、食事や着替え、散歩などの際は、母が自分でできるよう介助に徹しています。機敏に動けないので時間はかかりますが、不思議といら立つことはなく、怒鳴ることもなくなりました。

母のおかげで人に寄り添うことの真の意味を学び、その経験が今、支部長として会員さんと触れ合う時の支えになっています。