新型コロナウイルスへの対応の中で 教えを支えに日々を過ごす会員たち(21)

国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、立正佼成会ではさまざまな集いを控えています。こうした中、会員はどのような思いで過ごしているのでしょうか。それぞれの場で精進を重ね、サンガ(教えの仲間)と心をつないでいる会員の声を紹介します。今回は、東松山教会会員と立川教会壮年部員です。

喜び、悲しみを共に感じ、深めた絆

東松山教会会員(80歳・女性)

はす向かいに住む導きの親のAさんが腰を痛めてしまい、一カ月間、毎日病院に送迎させて頂きました。私が家族を亡くした時、ずっとそばにいて支えてくださったAさんに恩返ししたいとの思いからでした。道中、Aさんは胸にしまわれていた難病を患うご主人の状態や、17年間の闘病生活のことを話してくれました。

新型コロナウイルスの流行でお見舞いに行けないAさんから「夫と、夫が入院する病院に手紙を書きたい」と相談を受けたのは、3月のことです。コロナ禍の中で懸命に患者を支えてくださる医療従事者の皆さんに感謝が深まったこと、会えない時間に夫婦で歩んだ日々を思い出し、結婚して幸せだったとの心情を伝えたいとのことでした。

後日、Aさんから、医療従事者の方に囲まれたご主人の写真とお礼の手紙が病院から届いたとの報告がありました。Aさんの手紙は、看護師の方がご主人に聞こえるように、耳元で読んでくださったそうです。その後、面会の許諾がもらえ、ご主人と対面できた日は、二人で喜びました。

ご主人は8月に他界されましたが、Aさんは「思い残すことはないよ。支えてくれてありがとう」と言ってくれました。

喜び、悲しみをAさんと共に感じる中で、私自身が人を思いやる心を育てて頂きました。絆が深まり、感謝しています。

今はわが家の庭で、一緒に野菜を育てています。顔を合わせれば「ありがとう」と言葉を掛け合う毎日に、幸せを感じています。

今できることに本気で取り組む

立川教会壮年部員(65歳・男性)

新型コロナウイルス流行の影響で勤め先の仕事が激減した時、私の脳裏に苦い記憶がよみがえりました。18年前、経営していた会社が倒産。従業員に迷惑をかけ、負債を抱えました。当時の状況と重なり、言い知れぬ不安を覚えた私は、社長に現状を訴えました。すると社長から「どうすれば新たな仕事につながるか考えて」と言われたのです。

社員を自宅待機にし、一人で事務所の留守番をする中で、ある時ふと会長先生のご指導が浮かんできました。このコロナ禍をどう過ごせばいいかという問いに、「普段通り、今できる目の前のことに一生懸命取り組む」とお話しくださった動画メッセージです。心に立ち込めていた不安がうそのように晴れました。

頭がクリアになると、医療機関の備品が不足というニュースが目に留まりました。改めて工場内を見渡すと、フェイスシールドの材料になる素材がたくさんあります。とにかくやってみようと試作品を作り、4月末から得意先に営業をかけたところ、5月の連休明けから発注が入るようになりました。インターネット販売も好評で、1カ月半ぶりに自宅待機になっていた社員が出社することも叶(かな)いました。

教会の壮年部活動も自粛が続いていましたが、5月中旬に医療関係者を応援する横断幕を壮年部で製作し、教会の外壁に取り付ける作業を行ってからは、駐車場の草取りや道場の清掃奉仕、ご宝前の護持などを、人数を限ってさせて頂けるようになっています。会長先生の「即是道場(そくぜどうじょう)」のご指導を本気で実践すると、仏さまのお慈悲を頂き、道が開けるのだと実感しました。条件のせいにせず、今できる精いっぱいで仕事、お役に励んでいきます。