バチカンから見た世界

バチカンから見た世界(29) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

中東の「失われた世代」

地中海東部と、その隣接地域での紛争や戦争の犠牲者は2015年時点で、推計14万4000人に上る。これに対し、暴力が原因の殺人や自殺による死者数は140万人と、紛争や戦争の犠牲者の10倍にあたることが、米ワシントン大学などの調査で分かった。

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バチカンから見た世界(28) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「人身取引反対世界デー 教皇とアジア宗教者平和会議」

7月30日は、国連が定めた「人身取引反対世界デー」。ローマ教皇フランシスコは同日、バチカン広場での正午の祈りの席上、現代の人身取引に言及し、「この現象は醜く、残忍で犯罪行為だ」と非難した。

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バチカンから見た世界(27) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

反テロ巡礼を実施した欧州のイスラーム指導者

米ジョージ・ワシントン大学とオランダ・ハーグの欧州テロ対策センターはこのほど、欧米諸国で発生した「聖戦主義者によるテロ事件」に関する統計を発表した。これによると、2014年に「イスラーム国」(IS)が組織化されて以降、欧米で発生した聖戦を標榜(ひょうぼう)するテロ攻撃は51件に及ぶ。欧州は32件、北米は19件を数えた。

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バチカンから見た世界(26) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

“苦言を禁じる”

ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世やベネディクト十六世は、夏休みをイタリア北部のアルプスやローマ郊外カステルガンドルフォの避暑宮殿で過ごした。一方、「貧者の選択」をした現教皇フランシスコは、夏のバカンスには行かず、自身の居所として定めた「聖マルタの家」(バチカンを訪問する聖職者の宿)で毎日を過ごしている。

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バチカンから見た世界(25) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「衣食足りて礼節を知る」は、もはや遠き昔の格言か 

「衣食足りて礼節を知る」という諺(ことわざ)を昔、学校で教わった。今、イタリア南部に漂着するアフリカ大陸からの移民や難民に関する報道を追う中で、その諺が思い起こされ、誰が「礼節を知らないのか」と問い続けている。

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バチカンから見た世界(24) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

揺れ動く湾岸情勢

2003年のイラク戦争後、米国のブッシュ大統領は、アラブ・イスラーム圏に米国流の民主主義を“輸出”しようとした。しかし、イラクでは、それまでのフセイン政権下で権力の座にあったイスラーム・スンニ派が、米国の支援によって発足した同シーア派を中心とする新政権から外され、スンニ派とシーア派との対立を一層あおる結果を招いた。

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バチカンから見た世界(23) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

対峙する二つの世界――トランプ大統領とカトリック教会

米上院の共和党は6月22日、オバマ前政権時に導入された医療保険制度改革(オバマケア)を見直す代替法案の草案を公表した。この前日、トランプ米大統領は、「なぜ政権の経済担当者に富豪を任命したのかと尋ねられた。その答えは、富豪の考え方が、われわれの望む思考方法だからだ」と発言していた。

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バチカンから見た世界(22) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

マフィアと闘うバチカン

イタリア南部・シチリア島を訪問したローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が、同島のアグリジェント市から「マフィア関係者に忠告する。改心せよ! いつの日か、あなたたちにも神の審判が下る」と、マフィアを糾弾する歴史的なスピーチを行ったのは、1993年のことだった。マフィアの拠点で、拳を振り上げ、「自らの良心の内に多くの犠牲者を抱えるマフィア関係者は、無実の人々を殺すことはできないと知るべきだ。神は“殺すな”と言われた。なんぴとも、どんな団体、組織といえども、この聖なる神の法を変え、蹂躙(じゅうりん)することはできない」とも訴えた。

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バチカンから見た世界(21) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

火星人がいたら、彼らに福音を説く――バチカン天文台

ガリレオ・ガリレイがコペルニクスの地動説を支持し、バチカンの宗教裁判所から「異端」の判決を受けたのは1633年のことだった。だが、彼に対する裁判の見直しを試みる動きは、1823年にローマ教皇ピオ七世によって開始され、1962年から65年まで開かれた第二バチカン公会議の最後の年に、教皇パウロ六世も裁判の見直しを要請する発言を行った。

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バチカンから見た世界(20) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

米大統領のバチカン訪問

トランプ米大統領は、就任後に初となる外遊先としてサウジアラビア、イスラエルとパレスチナ、そして、バチカンを選んだ。日程は5月20日から24日まで。ティラーソン米国務長官は、この大統領の訪問先の選択を次のように説明した。「大統領は、イスラーム国(IS)のテロによって代表される悪の勢力に対して、3宗教の信仰が結束するならば、われわれはISに勝てると確信しているからだ」と。

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