バチカンから見た世界
バチカンから見た世界(73) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
「自由市場は社会正義を基盤とせよ」――ローマ教皇
世界経済の金融への偏重ぶりを「崇拝」と非難し、人間の労働に尊厳性を与え、社会の共通善を追求する実体経済への回帰を訴えるローマ教皇フランシスコ。イタリアの経済紙「イル・ソーレ・24オーレ」(9月7日付)のインタビュー記事の中で教皇は、「人間の尊厳性を守って(生産)活動を展開し、共通善を追求していくことは、企業にとっても良いことになる」と主張した。
バチカンから見た世界(71) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
ポピュリズムの拡大と憎悪による犯罪の増加
バチカンの国連常駐代表を務めるベルナルディト・アウザ大司教はこのほど、ニューヨークの国連本部で行われた人種主義や人種差別、外国人への不寛容を考える会合において、「政治家たちが人々の恐怖を憎悪に向けて扇動しないように」と訴えた。
バチカンから見た世界(70) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
金正恩委員長からの招待状を待つローマ教皇
文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領が10月17、18の両日にバチカンを訪問した。これに先立つ15日、政権を支える与党・民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が、情報源を明らかにしないながらも、「来年の春にかけて、ローマ教皇フランシスコが北朝鮮訪問を希望しているとの話を聞いている」と発言していた。
バチカンから見た世界(69) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
金融が偶像となる時――経済のあり方に警鐘を鳴らすローマ教皇
イタリアでは3月の総選挙後、大衆の願望や不安を利用して扇動するポピュリズムの政権が誕生した。その中核を成すのは、政党「五つ星運動」だ。
バチカンから見た世界(68) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
信教の自由をめぐって――バチカンとトランプ政権
ローマ教皇フランシスコは8月22日、バチカンで「国際カトリック立法者のネットワーク」に所属する各国の国会議員たちと面会した。カトリック立法者たちはこれに先立ち、ローマで『信教と良心の自由』をテーマに国際会議を開き、謁見(えっけん)したのだった。
バチカンから見た世界(67) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
ユダヤ人至上主義に進むイスラエル
大衆の欲望や不安をあおって権力を維持しようとする欧米のポピュリスト(大衆迎合主義者)たちは、「自国至上主義」を唱える。一方、米国のトランプ政権の支持基盤であり、白人至上主義的傾向の強い、キリスト教原理主義者からの支持を受けるイスラエルの右派の政治勢力は、「ユダヤ人至上主義」をうたい始めた。
バチカンから見た世界(66) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
韓国カトリック教会の夢と現実――老齢化する離散家族
8月4日付のバチカン日刊紙「オッセルバトーレ・ロマーノ」は、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長からの親書を受け取り、ツイッターで「素晴らしい親書に感謝」との言葉を寄せ、「早期の再会を願った」と報じた。
バチカンから見た世界(65) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
政治家の和平と宗教者の和平――朝鮮半島
南アフリカの故ネルソン・マンデラ元大統領の生誕100年を記念する式典がその誕生日の前日である7月17日、ヨハネスブルクで行われ、米国のオバマ前大統領が講演した。18日付の共同通信(電子版)は、この中でオバマ氏が、世界の現状を「奇妙で不確かな」時代と評し、「『恐怖や恨み』をあおるような政治状況に強い危機感を表明した」と伝える。