ちょっと軽く、ストレッチしてみましょう(1.ストレッチ) 加瀬剛(スポーツトレーナー、佼成学園高アメフット部ヘッドトレーナー)

体幹を鍛えることで当たり負けない体をつくる、をモットーに、佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」の全国大会3連覇に貢献したスポーツトレーナー加瀬剛氏。日頃は、接骨院の院長として、一般の人々のケアにも当たっている。体の構造を知り、毎日をしなやかに過ごすにはどうすればいいか――体の専門家として、今回からアドバイスしていく。

ストレッチ=良いことor危険!?

世の中には、何の根拠もないのに、いつしかウソが“常識”になってしまうことが多くあります。

ストレッチもその一つ。

多分、世界中でストレッチは体に良いものである、と思われています。ただ、筋肉やじん帯の構造を理解しないまま、間違ったストレッチによって、筋肉を伸ばし過ぎることで、かえって体の故障の原因につながることはあまり知られていません。

筋肉は、そもそも縮む機能しかなく、伸びる機能は備わっていない!

解剖学的に説明すると、実は、筋肉にはもともと“伸ばす”、という機能はありません。“縮める”という機能しか無いのです。よって、筋肉は“伸ばされる”ことで弱くなります。また、“伸ばした状態から筋肉を繰り返し収縮させる”ことで必要以上に負担がかかり、筋疲労が起こりやすくなり、腱(けん)や関節にまで悪影響が出てしまうのです。

ノック式のボールペンに入っている「バネ」を想像してみてください。例えるなら、筋肉はこのバネのように縮み、そのあとは元に戻る機能しかないということです。

また、バネを無理に伸ばすと壊れてしまうように、筋肉も無理に伸ばし過ぎると「筋性防御」という自動制御装置が働いて、「硬く」なってしまいます。それによって、体の故障につながってしまう場合が少なくありません。

ですから、やみくもにストレッチを行うのではなく、まずは正しい筋肉の縮め方を知ることが重要になります。

筋肉は、正しく収縮すれば自然と柔らかくなり、ゆるみます。逆に、必要以上に伸ばされると、筋肉はどんどん硬くなります。まずは、このことを念頭に置いてください。

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