利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(41) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

大いなる慈しみと悲しみ

先月の明るい気分もつかの間に終わってしまった。東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が連日200人台に上がったにもかかわらず、政府も都も対応策を取ろうとしない。「休戦状態」の期間に次の危険に備える必要性を前回指摘したが、日本はそうせず、戦火が再び上がってさえも事態を放置しようとしているのだ。それどころか、政府は「Go To トラベル」事業を前倒しにすると発表し、批判を受けて東京だけ除外した。

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総選挙は平和に向けた「黄金の機会」――WCRP/RfPミャンマー委員会(海外通信・バチカン支局)

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)ミャンマー委員会はこのほど、今年11月に予定されている同国の総選挙に向けて、『この機会をつかもう』と題する声明文を公表した。7月14日にローマ教皇庁外国宣教会の国際通信社「アジアニュース」が報じた。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(16)最終回 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

歩くことで道は出来る

1999年10月、私のサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路(スペインの世界遺産、キリスト教の聖地)の旅は、マドリードの北東約400キロに位置するザビエル城から始まった。ここは日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの生誕地ならびに幼少時代の住居として知られる。

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