総選挙は平和に向けた「黄金の機会」――WCRP/RfPミャンマー委員会(海外通信・バチカン支局)

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)ミャンマー委員会はこのほど、今年11月に予定されている同国の総選挙に向けて、『この機会をつかもう』と題する声明文を公表した。7月14日にローマ教皇庁外国宣教会の国際通信社「アジアニュース」が報じた。

声明文はミャンマー市民、民族運動の推進者、反政府武装勢力、諸政党、諸宗教指導者に向けてのメッセージであり、仏教、カトリック教会、イスラーム、ヒンドゥー教を中心に国内の諸宗教指導者たちが署名している。この中で同委員会は、「われわれは一つの国家を建設していくために違いを恐れてはならない。むしろ、交渉、妥協、対話について学び、実行できる私たちであることに喜びを持とう」と強調。「医療、環境、社会という3分野の危機に対処していこう」と呼び掛け、総選挙は皆が連帯するための“黄金の機会”であり、このチャンスを逃さないようにと訴えている。

また同国は現在、「新型コロナウイルス」「人類を危機に陥れる気候変動と環境問題」「民族差別に固執した狂気」という三つの危機に直面しているとの懸念を表明。「どのような勇気と創造性を持てば、権利の尊重、平等、持続的な繁栄、恒常的和平が実現できるのか」と問い掛けた。

さらに、同国の豊かな自然資源が一部の人々の私利私欲のために売却され、肥沃(ひよく)な河川と森林も汚染され、破壊が進んでいると指摘。特に若者が直面する問題は深刻で、薬物の蔓延(まんえん)による依存症患者の増加、人身取引による国外での過酷な労働、民族間の争いによる犠牲といった問題が起きていると報告している。

その上で、「(険しい)上り坂ながらも“新しい道”を歩むことを選び、(これまでと変わらない)楽な“下り坂”を選択しないように」と提言。総選挙に向けて、一人ひとりが真理を基に行動し、敵対する人を含め全ての人にとって平和が有益なものであることを多くの人に確信させ、希望と期待を託せるものにしていくようにと訴えた。

最後に、同ウイルスの収束後の世界や未来に向けて準備することが重要であり、「母なる地球の叫びに耳を傾け、相互に尊重し合い、若者に勉学を奨励しよう」と要請した。加えて、アジアをはじめ世界各国が未来の世代に対するミャンマーの貢献に期待しているとし、「私たちの文化は幾世紀にもわたって築き上げられた宝」であると主張。世界に酸素を供給する重要な役割を果たす同国の森林の重要性にも触れ、その保護を唱えている。

なお、声明文の内容は同日、バチカンの公式ウェブサイト「バチカンニュース」でも報道された。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)