バチカンから見た世界(46) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

このほか、米国キリスト教会協議会(プロテンスタント、正教、聖公会などで構成)は、エルサレムをイスラエルの帰属として認めるような一方的な行為が「中東の平和を脅かし、対立関係を永続させるのみ」との1980年に示された見解を改めて主張。「トランプ大統領の行為が中東全域に暴力をもたらし、和平合意の調停役として米国に託された役割の信ぴょう性が疑われる」との懸念を発した。

加えて、「西エルサレムが事実上、イスラエルの首都とされ、東エルサレムが未来のパレスチナ国家の首都と考えられてきた」状況の中で、「全エルサレムをイスラエルの首都と宣言し、米国大使館を同都に移転させることは、中東紛争に点火する行為だ」と非難。トランプ大統領を支持する極右キリスト教徒やユダヤ教徒が、エルサレムをイスラエルの首都として宣言するための神学的、聖書学的根拠を挙げているが、彼らは間違っている」とし、中東の複雑な状況を理解しない「トランプ大統領の単純過ぎるアプローチ」が、イスラエルとパレスチナ双方のキリスト教徒、ユダヤ教徒、ムスリム(イスラーム教徒)に「苦難」を与えると指摘している。