絵画で紡ぐ物語 ~山口暁子の世界~ 4月

『花の洗礼』

桜の花言葉は「精神の美」だそうです。精神の美しさにはいろいろな解釈があると思いますが、私の中では、利己的でないこと、謙虚で優しくあること、夢や希望を捨てないことが含まれるように感じます。世の中がますます混沌(こんとん)としていく中、夢と希望について自分なりに表してみたく、この作品を描きました。

さて、今年度も引き続き連載をさせて頂くことになりました。この1年はゆるやかなテーマ設定のもと、文章を綴(つづ)ってまいります。日本画の伝統を新しい形で表現しつつ、皆さまの記憶と想像力に触れるようなコーナーを目指したいと思います。お付き合い頂けましたら幸いです。

プロフィル

やまぐち・あきこ 1974年、東京都生まれ。97年、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。卒業制作でサロン・ド・プランタン賞受賞。99年、同大学院美術研究科絵画科日本画専攻修了。修了制作で紫峰賞受賞。絹に描くという現代の日本画では希少な技法を使って制作を続けている。