『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(25) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

画・国井 節

世紀転換期としての平成

前回(第24回)に書いたように、平成という時代は、「平和に成る」という願いが込められた年号であったにもかかわらず、実際には紛争や戦争が起こり、混迷の時代となって終わりつつある。それはなぜだろうか。

この時代は1989年から2019年までだから、まさに世紀転換期に当たる。実は、19世紀末から20世紀初頭にかけての世紀転換期にも、世界の混乱が指摘されている。1914年-1918年が第一次世界大戦だから、今から約100年前には、まさに世界規模の大戦争が起きていたわけだ。

振り返って考えてみれば、20世紀末にもやはり陰鬱(いんうつ)な予想も垂れ込めていた。ちまたで『ノストラダムスの大予言』といったような本も売れていて、「1999年7の月」には世界が終わると恐れていた人もいたほどだ。実際にはその年には世界は終焉(しゅうえん)しなかったが、2001年9月11日の米国同時多発テロ(9.11)でニューヨークの摩天楼が崩れ落ちて、それまでの通常の世界の崩落を感じさせた。ここから、紛争と混乱が始まっていったわけだ。

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