『おもかげを探して どんど晴れ』(1) 文・画 笹原留似子(おもかげ復元師)

画・笹原 留似子

おもかげ復元師の世界

私は、岩手県に住み、東北で「おもかげ復元師」というお仕事をさせて頂いております。「復元納棺師」とも呼ばれています。

「納棺師」という仕事は、映画「おくりびと」を通して、ご存じの方も多いと思います。人が最期を迎える時、医療や介護の専門家の人たちが立ち合い、色々なアドバイスや見守りの中で看取りが行われます。その後に引き継ぎ、家族の希望に添いながら故人お一人お一人の死後の変化に対応する技術でお身体を清め、衣を整えて、棺にお納めするのが納棺師の仕事です。

これに対して「おもかげ復元師」は、基本的に警察から依頼を受けての仕事です。つまり、事件や事故などそれぞれの状況の中で、損傷を受けて本来の姿をとどめていなかったり、時には腐敗が進み、誰なのかが分からなくなってしまっていたりした人をお世話させて頂くことになります。

生前の姿をとどめていない、損傷が激しいご遺体の場合には、「納体袋」という中が見えない特殊な袋で身体全体を包み、安置されます。ご遺体は、故人が識別され、いつ亡くなられ、なぜ亡くなったのかが明らかになると、家族の元へ帰ります。しかし、納体袋から出されることなく納棺され、家族と対面せずに火葬されることも少なくありません。見るに堪えない状態だからですが、それでは家族は、大切な人の死という事実を受けとめられないまま過ごしていかなければなりません。

そこで私が、その方をいったんお預かりします。納体袋から出して、家族と故人が出会えるように、生前に近い姿に戻して家族の元に帰します。それで終わりではありません。火葬までの数日間、毎日、家族や故人を大切に思ってくれる人を訪ね、お話をして、限られた貴重な時間の中で故人の思い出を振り返るお手伝いをします。こうして故人を偲(しの)び、家族にとっての「看取り直し」のお手伝いをするのが、おもかげ復元師の仕事です。

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