新型コロナウイルスへの対応の中で 教えを支えに日々を過ごす会員たち(31)

国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、立正佼成会ではさまざまな集いを控えています。こうした中、会員はどのような思いで過ごしているのでしょうか。それぞれの場で精進を重ね、サンガ(教えの仲間)と心をつないでいる会員の声を紹介します。今回は、平教会主任、清水教会主任です。

息子と心通じ合い、大きな喜び

平教会主任(70歳・女性)

埼玉県の飲食店で働いていた息子が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、昨年10月に失業しました。以来、アルバイトで生計を立てています。支えたいと思い、手紙と一緒に食料を送っています。

手紙を出し始めた頃は、「しっかり体調管理をしていますか」とか「今後の仕事はどうするの?」といったことを記していました。息子を心配してのことだったのですが、いつも不安をあおるような文面になっていたのです。

息子からのメールには、「一生懸命やっているよ。心配、心配とばかり書いて。そんな手紙ならいらない」と書いてありました。わが子を応援するはずが、追い詰めてしまったと反省し、力になる方法を見つけるため、会長先生のご法話をかみしめた教会長さんの文章や機関紙誌を必死に読みました。次第に、40歳近い息子を子供扱いし、一人の大人として尊べずにいたことに気づきました。長所を褒める大切さも知り、早速、実践してみたのです。

手紙には、息子をたたえる言葉に加え、家族の近況や私が教えから学んだことなどを記すようにしました。息子は愚痴を吐かず、一生懸命に働いています。ある時の手紙には、頑張りが「素晴らしい」とつづりました。

すると息子から、「お母さんからもらう手紙がうれしいよ」「また送ってよ」と喜びのメールが来ました。コロナ禍の中で、息子との心が通じ合えたのは大きな喜びです。〈あなたを見守っています〉。これからもその思いを届け、共に苦境を乗り越えていきます。

「誰かを思える」新たな自分に

清水教会主任(61歳・女性)

新型コロナウイルスの影響で、対面での手どりを控えなければならなくなり、地区の会員さんとのつながりが薄れてしまうのではと不安になりました。会員さんの中には高齢の方、独居の方もいます。私自身がデジタル機器に疎いため、若い主任さんのようにメールやSNSで連絡を取り合うこともできません。どうしたものかと思っていた昨年4月、関口泰由教会長さんが会員さんに向けてメッセージを発信してくださったのです。

そのメッセージを印刷して、教会の予定表と一緒にポスティングすることになり、私は、せっかくならと自分でも手紙を書くことにしました。

会員さん一人ひとりの顔を思い浮かべて、その人に合ったレターセットを選び、内容もただ「配布物があります」という味気ないものではなく、言葉や表現を工夫しました。教会長さんのメッセージを何度も自分で読み込み、大事だと思うポイントを盛り込みました。

最初は、組長さんと班長さんだけでしたが、気になる人や顔が浮かんだ人などにも出すようになり、今では毎月15人前後に書いています。コロナ禍以前は仕事で忙しいのもあり、手どりに行くことがおっくうでしたが、活動自粛という難題を通して、私の中にある「サンガとつながりたい」「人さまの幸せを念じたい」という仏性に気づくことができました。

一年間よく続いたものだと、私自身が一番驚いています。見返りを求めるわけではなく、「今あの人はどうしているだろうか?」と誰かを思える――。コロナ禍を通して新たな自分に出会えたように感じ、とてもうれしく思います。