エネルギー転換を図るドイツの事例に学ぶ(1) 政府に「脱原発」を提言した倫理委員会のメンバーが講演

また、講演では原発から出される高レベル放射性廃棄物の処分に関するドイツの政策についても解説。再処分場の建設予定地は、かつて政治家や専門家によって検討され、「トップダウン」で決定されたが、現在は、政府のもとに三つの委員会がつくられ、国民的議論のもとで進められていると説明した。この中で、シュラーズ氏は、二つの委員会の活動をサポートしながら審査する委員会のリーダーを務めており、国民と意見を交わして国民の信頼を得る形で政策決定がなされる仕組みづくりに力を注いでいると語った。

最後に、シュラーズ氏は、委員会が掲げる「誰も、自分の庭に再処分場は欲しくない。しかし、私たちはこれを変えたい。欲しくはないけれど、私たちは社会の一員として責任を持っているから、再処分場を設けることを許す。そこまでできるかは分からないが、それが私たちの今の問題です」との言葉を引用。その上で、シュラーズ氏は「でも、私たちが何より分かっていることは」と語り、こう結んだ。

「原発を稼動すると、もっとゴミが出てくる。だから、なるべく早く『脱原発』。この問題が大きくならないように」

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