エネルギー転換を図るドイツの事例に学ぶ(1) 政府に「脱原発」を提言した倫理委員会のメンバーが講演

2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、「脱原発」に政策を転換したドイツ。当時、原発の廃止をメルケル首相に提言した「安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」で委員を務めたミュンヘン工科大学のミランダ・シュラーズ教授が2月27日、東京・渋谷区の聖心女子大学ブリット記念ホールで講演した。

講演会のテーマは『ドイツはどのようにして脱原発に舵(かじ)を切ったか』。同氏の来日を企画した実行委員会が主催し、日本イラク医療支援ネットワークやアーユス仏教国際協力ネットワーク、ふくしま地球市民発伝所、立教大学大学院キリスト教学研究科などが共催した。

日本では、エネルギー政策基本法に沿って政府がエネルギー基本計画を策定するが、福島第一原発事故後の2014年に発表された同基本計画では、原発を「重要なベースロード(基幹)電源」とした。また、マスメディアの報道によると、政府は現在、エネルギー基本計画の見直しを進めており、30年においても原発を「重要な電源」とし、原発事業を継続しやすいように、政府が制度面などで「環境整備」を進める方向で調整していると伝えられる。当日、会場には、エネルギー問題に関心を寄せる市民300人以上が詰め掛けた。

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