5年ぶりの「生誕地まつり」 秋空の「市中行進」で満面の笑みが咲き誇る(動画あり)

力強くマトイを振る朝霞、上尾両教会の青年部員たち

朝霞教会 教会の垣根を越えた青年部員の交流

朝霞教会は今年、上尾教会の青年部員と合同で編成したマトイをはじめ、壮年部員が独自に創作した「万灯山車」、鳴り物による行進で祭りを盛り上げた。

上尾教会とタッグを組むことになったのは、青年育成に力を入れる朝霞教会が主催する、法華経を学ぶ「青年塾」に、4年前から上尾教会の青年部員が“留学”の形で参加していることがきっかけ。今年も、平和学習や法座などを通して交流を深めてきたことで、青年たちの中で、「一緒に生誕地に行こう」という雰囲気が自然に出来上がった。

当日に向け、それぞれの教会道場で練習を重ねた。上尾教会の青年部員は、朝霞教会道場の駐車場で行われた2回の総合練習にも参加。合同練習は少なかったものの、これまでの交流で育まれた絆によって、部員同士の心が一つになるのに時間はかからなかった。

両教会の約80人が生誕地に集った。全員でそろいの法被に袖を通し、沿道の観客の笑顔や声援を力に替え、精いっぱい行進した。

隊列責任者を務めた青年部長(32)は、「教会や部の垣根を越えて、全体が一つになれた気がします。今回の縁を胸に、これからも部員一人ひとりとの関わりを大切にして、相手の心の機微が分かる人を目指します」と笑顔で語った。

コロナ禍に負けずオンラインで練習を積み重ねてきた調布教会のリトルマヤ。市中行進で華麗なバトンさばきを披露した

調布教会バトンチーム コロナ禍を経て晴れ舞台へ

3歳から大学生の12人によるバトンチーム「リトルマヤ」が軽やかな演技で調布教会の隊列の先頭を彩る。バトン責任者のNさん(27)=青年総務=はその姿を笑顔で見守っていた。

コロナ禍で教会道場が閉鎖され、チームは毎週行っていた練習の場を失った。スマホのビデオ通話による練習に切り替えたが、画面越しで指導者の動きが反転する、自宅ではバトンを全力で振れないなどの問題に直面。満足な練習ができず、指導者もメンバーも歯がゆさを感じた。

活動が滞れば、チームの解散も考えざるを得ない。それでも、Nさんは諦めなかった。「大変だからこそ、一人ひとりの小さな成長を皆で大きく喜ぼう」と伝え、メンバーを鼓舞。3年間、オンラインでの練習を続けた。保護者たちの力も大きかった。わが子の自宅での練習に付き合い、演技をスマホで撮影して共有するなど、協力を惜しまなかった。

今年4月に生誕地まつりの開催を知らされ、Nさんはチームでの参加を迷いなく決意した。翌5月からは対面での集合練習を再開。コロナ禍を経て、集まれることが当たり前ではないと実感したメンバーらは、練習できることの有り難さをかみしめながら、生誕地まつりに臨んだ。

市中行進を終え、晴れやかな表情を浮かべるメンバーの脇で、Nさんは語る。「コロナ禍で練習をやめていたら、行進で演技を披露することはできませんでした。生誕地まつりで行進できたのは、メンバーの頑張り、そしてそれを支える家族、教会の皆さんの支えがあったからこそ。感謝しかありません」。

チームは今年、発足35年を迎えた。コロナ禍という逆境の中で成長したメンバーたちを、最近は頼もしく感じるとNさんは目を細める。先輩たちから受け継がれたバトンチームの歴史が、次世代に引き継がれている。

【次ページ:市中行進とイベントの様子】