男たちの介護――(8) 妻と娘のダブル介護 家族との時間を大切に過ごす日々

朝食を食べさせ、まず晶子さんを障害者サポートセンターへ、その後、晴枝さんをデイサービスに送り出す。慌ただしく2人を見送ると、すぐに洗濯機を何度も回し、洗濯物を干していると昼になる。妻のこと、娘のことを思えば頑張れた。3人でいつまでも一緒に生きていたかった。しかし……。

普段は、朝6時に起きる晶子さんが目を覚まさない。6時半を過ぎた頃、突然、晶子さんが「えらいの、えらいの」と大声でつらさを訴えた。慌てて正臣さんが晶子さんを抱きかかえると、見る間に唇が真っ白になった。正臣さんの腕の中で晶子さんは息を引き取った。平成30年3月22日。46年の生涯だった。

〈この子を一人残して死ねない。でも、長生きしてほしい〉。夫婦の願いであった。もっともっと生きていてほしかったと正臣さんは思う。娘のいない寂しさ、心の空白を埋めることはできない。

晶子さんの供養になればとの思いから、晴枝さんを車椅子に乗せて、立正佼成会の教会へ通うようになった。晴枝さんは立正佼成会の教会で主任のお役を30年務めていたので、サンガ(教えの仲間)と触れ合うと記憶がよみがえるようだ。ただ、今も晴枝さんは晶子さんの死を理解できずにいる。母親の心には、娘はいつまでも生きているのだろう。

異体同心。これが夫婦のありようだと正臣さんは思っている。だからこれまで、互いを思いやり生きてきた。〈晶子があんなに明るく生きられたのも、妻のおかげだ〉。今まで通り、妻の思いに心を寄せて、面倒を見てあげたい。正臣さんの願いである。

※記事中の人物は、仮名です