男たちの介護――プロローグ 津止正敏・立命館大学教授に聞く

あなたの身の回りには、多くの在宅介護の仲間が

男性介護ネットを設立後、私は各地の男性介護者の集いに参加していますが、号泣しながらこれまでの苦労を打ち明ける人が少なくありません。そんな人は次に来た時に表情や声のトーンが明るくなっています。心の底にためていたものを吐き出すことで、介護に前向きになれるからだと思います。電話やメールで相談をしてくる人もたくさんいます。方法は何であれ、一人で抱え込まないことが大切です。介護者同士が交流することも重要です。しんどい思いをしているのは自分だけじゃないと気づくことが大切なのです。

男性介護ネットのリーフレットには「ひとりじゃない。生きる勇気がわいてきた」とあります。それは「一人じゃない」と実感できるネットワークをつくることが急務だと考えたからです。

24時間365日、一人で頑張って介護を行うのは無理があります。しんどくなってきたらヘルパーの方に来てもらうなど、介護する側もされる側も負担が軽減されて気持ちよくできる介護が浸透すればいいと思っています。

介護は髪を振り乱して必死になってやることもありますが、誰もが同じように悩んでいることを知ると、案外楽にできることもあるのではないかと思っています。あなたの身の回りには、多くの在宅介護の仲間がいることを忘れないでほしい。

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