立正佼成会 庭野日鑛会長 10月の法話から

ご法をしっかりと

有名な良寛さんが、こういう歌をつくられています。

「世の中に 何が苦しと 人(ひと)問(と)はば 御法(みのり)を知らぬ 人と答へよ」

世の中に何が苦しいと、人が問うのであれば、御法(みのり)を知らない、真理を知らない、そういう人が苦しんでいる、ということです。私たちは仏さまの教え、法華経を頂いています。本当に一番大事なものを頂いているのであり、それを日頃の生活の中で生かしていくことが大切であります。
(10月1日)

画・茨木 祥之

布施のもう一つの意味

仏教では「布施」が大切なこととして教えられています。この布施という言葉の受け取り方もいろいろあります。

布施は「施(ほどこ)す」ということ、つまり、人に物を「施す」、「恵む」、という意味があり、施しが宗教の行(ぎょう)であるとも言われます。一方で、自分の健康を保つことも布施です。特に何かを人さまに施すことをしなくとも、ただ行じていけば、それが役立っていく、そういう布施の姿、あり方があるのです。菩薩の修行とは、そういうものなのです。

座禅をしたり、念仏を唱えたり、唱題行をしたりすることだけではありません。朝から晩までの生活全てが布施になっている、特に考えなくても布施になっている、そうした布施の心で生活できることが、人間にとっては一番安心な生活だと、教えられています。

布施とは、人さまに何かを恵むことだけではなくて、自分が健康で日常の生活に不自由なく、また人さまにも不自由をかけない、そういう生活が本当の在家仏教の布施の姿だということであります。私たちは日頃から、健康にも留意して、人さまのためになれることがとても大事な布施である、としっかり受け取らせて頂きましょう。
(10月1日)