共生へ――現代に伝える神道のこころ(18) 写真・文 藤本頼生(國學院大學神道文化学部教授)

地域に根付いた地名と神社の関係 歴史や伝統を後世に残す努力を

地域神社の調査をするために市街地を歩いていると、時々、細い路地に出くわすことがある。こうした路地や谷の行き詰まりを、三重県南部の方言では「世古(=せこ。瀬古)」と呼ぶ。同県内の市町村には「世古」に由来する「大世古」「瀬古口」「小世古」といった地名があり、人名では「世古」さんという方もいらっしゃる。特に市街地に世古の多い伊勢市では近年、世古を活用したまちづくりのためのワークショップが行われるなど、地名の持つ意味とその奥深さには、いまだに驚かされることが多い。

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教皇がカナダ先住民の若者に対してスピーチ(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇フランシスコは「世界の先住民の国際デー」にあたる8月9日、「世界の先住民の持つ、家庭と共同体に対する純粋な感覚がどれほど貴重なことか。若者と老人との間で絆を培い、全被造世界(自然)との健全で調和した関係を保全していくことが、どれほど重要なことか」とツイートした。

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忘れられた日本人――フィリピン残留日本人二世(1) 写真・文 猪俣典弘

「フィリピン人を殺しに来たのかい?」

1995年11月、立正佼成会青年本部(当時)から青少年育成、地域開発のボランティアとしてバターンキリスト教青年会(BCYCC、フィリピン)に派遣された私は、赴任して間もないある晩、通りがかりの老婆にこんな言葉を投げかけられました。

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えっ、これも仏教語!?(65) 【だつらく】脱落

「あのチームはついに優勝戦線から脱落した」「共同闘争からの脱落者が相次いだ」などと用いられています。もともとは禅宗でよく用いられる語で、意味はまったく違い、我(が)を捨て去るとか、自己を忘れるという意味です。

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内藤麻里子の文芸観察(35)

中高年になると体のあちこちに脂肪がつき、健康診断の結果も思わしくなくなる。誰でも一度は「泳いでみようか……」という言葉が頭をよぎるのではないか。そんな時には篠田節子さんの『セカンドチャンス』(講談社)が超お薦めだ。

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