利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割(4) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

宗教における対話の重要性(前編)

公共的な活動をする際に不可欠なのが、対話である。前回に書いたように、「共謀罪」法が危険な理由の一つは、話し合いをしただけで「共謀」とみなされてしまう危険性があるからだ。実際に参議院の審議では、環境保護や人権保護を標榜(ひょうぼう)している団体でも、それらを隠れ蓑(みの)にしている場合には処罰されうると、法務大臣が答弁した。宗教を掲げている団体も同じように対象となりうるわけだ。対話が大事な宗教団体にとって、これは由々しき問題だ。

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「ゆめトモ交流プログラム」 比ミンダナオの青年が来日

「ゆめトモ交流プログラム」が5月21日から28日まで、立正佼成会の中国、静岡、千葉、奥羽の4支教区で実施された。フィリピン南部のミンダナオ島にある、本会一食(いちじき)平和基金のパートナー団体である「ミンダナオ子ども図書館」(MCL)の奨学生ら12人が来日。フィリピンからの一行は、21日の広島教会での交流をはじめ、24日に青森教会、27日に富士教会、28日に船橋、千葉の両教会を訪れ、青年部員らと友情を深め合った。

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追憶の道

マーガレットの咲く小道をどこまでも歩いていくと、遠い記憶の世界にいざなってくれそうな気分に見舞われる。小さな漁港を回って漁網を配達するアルバイトをしていた時、ひなびた漁村の道端に咲いていた野菊の美しさと夕暮れの優しい光に心惹(ひ)かれてつかの間の時を過ごした。それは遠い遠い昔、私がまだ学生だった頃の話。そんな思い出につながるほんのりと懐かしい追憶の道だ。

香り立つ

初夏の草木が一斉に輝きを放つ頃になると、柔らかな草木の香りが漂い、野山は一層麗しさを際立たせる。人間の乾いた心にも、潤いを与えてくれるのだ。刻一刻と姿を変えていく自然の姿――美しい季節の移り変わりは、生きていることの不思議さと、自然の恩恵のありがたさを教えてくれる。

ほ~っと

柔らかい光に包まれた湖面は鏡のように静かで、一艘(いっそう)の釣り船だけが時間の流れを感じさせてくれる。思えばあわただしい喧噪(けんそう)の中で、何もかも見失ってしまいそうで、ゆっくり立ち止まることさえなかった。柔らかな光の中でとろけてしまいそうな空気に包まれて、何のためらいも欲もなく、赤子のようにいつまでもほ~っと身をゆだねていたい。