ほ~っと

柔らかい光に包まれた湖面は鏡のように静かで、一艘(いっそう)の釣り船だけが時間の流れを感じさせてくれる。思えばあわただしい喧噪(けんそう)の中で、何もかも見失ってしまいそうで、ゆっくり立ち止まることさえなかった。柔らかな光の中でとろけてしまいそうな空気に包まれて、何のためらいも欲もなく、赤子のようにいつまでもほ~っと身をゆだねていたい。