おもかげを探して どんど晴れ(13) 文・画 笹原留似子(おもかげ復元師)

画・笹原 留似子

「いのちの授業」後編

だから今日を後悔しないように生きるためには、その日のうちに、大切な人に「ありがとう」と伝えておくこと。これがとても大切です。そして、ハグし合う。それが思春期で恥ずかしいのであればハイタッチでも良いですよ。

全国の小学校や中学校を訪問して行っている「いのちの授業」の中で、感謝の気持ちをハグやハイタッチで表すことを話します。「できますか?」と声を掛けると、子どもたちはざわつきますが、「はーい!」と、元気な声が飛び交います。

他人の目を気にしながら、格好良く生きる必要なんかないと思います。「格好悪い」と誰かに言われても、誰かのいのちを輝かせて、その笑顔で自分のいのちを輝かせられて、お互いに素晴らしい化学反応でいのちを輝かせ合えたら、いのちを大切に生きていることになるのではないですか?

感謝の気持ちをストレートに表現する大切さを話した後、授業は、「さぁ、それではトイレの花子さんの立場になって考えてみましょう」と展開していきます。「トイレの花子さんは、生きていますか? 亡くなっていますか?」と聞くと、「亡くなってまーす!」と生徒さん方は答えます。はい、そうですね。

「トイレの花子さんを呼んだことはありますか?」と聞くと「ありまーす!」とみんなが答えます。「何回名前を呼びますか?」と聞くと、「3回」という回答が多いのですが、地域によっては「8回呼ぶ」という地域もあります。

授業では、花子さん役を2人、名前を呼ぶ生徒さん役を3人選び、花子さんに向かって生徒さんがいつも通り名前を呼んでもらいます。「花子さん、花子さん、花子さん、花子さん、花子さん……」。この後、私が、花子さん役の2人に聞きます。「今、8回名前を呼ばれましたが、どのような気持ちですか?」と。すると、花子さん役の2人はこう答えます。「うざいです」。この言葉に、体育館に集まった全校生徒が大爆笑します。私は、「そうですよね、なぜうざいと思ったのか考えていきましょう」と語り掛け、授業をまとめます。

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