『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(9) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

画・国井節  

選挙結果がもたらした危険性

衆議院選挙は、与党が大勝し、議席の3分の2以上を確保した。改憲の発議が可能なので、政府はさっそく憲法改正の議論を呼び掛けた。前回の本欄で述べた通り、この選挙は「戦争か平和か、専制化か民主主義か」という岐路だったから、日本国民は戦争と専制化の道を選んだことになる。

さっそく、政府はこれらを進め始めた。選挙後の国会をわずかしか開催しないで野党の質問時間を大幅に削減することを提案した。これは見紛(まが)うことなき専制化だ。野党の抵抗で実質的には一週間だけ開催することになった。

トランプ大統領は東南アジア諸国首脳に対し、北朝鮮のミサイルを日本が「迎撃すべきだった」「武士の国なのに理解できない」と述べて訪日し、首相は協力姿勢を強調してアメリカ製の武器を大量に買うことを約束した。宇宙空間は、国際的に領空の及ばないところとされており、日本の上空彼方(かなた)、宇宙空間を飛んでいる北朝鮮のミサイルを撃ち落とせば、日本から戦争を仕掛けることになる。日韓に大量の死者が出てもアメリカ本国には犠牲が出ないので、トランプ大統領の掲げる「アメリカ・ファースト」にとっては望ましいのかもしれない。でも、それは多くの日本人にとっては悪夢のシナリオだ。

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