「普門館とわたし」特別編――識者の思い(2)

11月5日から11日まで行われた、吹奏楽関係者やファンに普門館大ホールの舞台を開放するイベント「普門館からありがとう~吹奏楽の響きたちへ~」には、現在、音楽の仕事に携わる識者も訪れた。それぞれの普門館とのゆかりを紹介する「『普門館とわたし』特別編――識者の思い」の第2弾。今回は、洗足学園音楽大学講師の福田昌範さん、音楽ライターの富樫鉄火さん。

福田昌範(洗足学園音楽大学講師、ユーフォニアム奏者、指揮者)

「普門館からありがとう~吹奏楽の響きたちへ」のイベントに、私が東京佼成ウインドオーケストラのエキストラとして演奏していた頃にお世話になった団員の先輩が、楽器を持った教え子たちを連れて来ていました。「みんなで『宝島』を演奏して盛り上げない?」と声を掛けられ、私が指揮をすることになりました。数人の演奏から始まった音楽の輪がステージ全体に広がっていく様子は見事で、気持ちよく指揮をさせて頂きました。

このステージでは、佼成ウインドの一員として何度も演奏しました。フレデリック・フェネルさんの指揮でレコーディングをしたこともあります。ただ、僕自身がここで指揮を振るのは実は今日(11月8日)が初めて。最後に素晴らしい経験をさせて頂きました。

ほかにも、東京都吹奏楽連盟の審査員として演奏の講評を書いたこと、演奏指導をしていた吹奏楽部の演奏を舞台袖でハラハラしながら見守ったこと……、普門館の数え切れない思い出がよみがえってきて、ここから帰りたくなくなってしまいます。

一番驚いたのは、今日、このステージにいる、現役の吹奏楽部員とおぼしき制服姿の学生の多さです。全国大会の会場が変わってもなお、「吹奏楽の聖地」として語り継がれていることの証しです。うれしいですね。(談)

【次ページ:音楽ライター富樫鉄火氏による寄稿】