普門館とわたし(2)

普門館にまつわる思い出やエピソードを「普門館とわたし」として募集したところ、貴重な体験が投稿として寄せられています。編集部に届いた投稿を随時掲載していきます。第2回は、全日本吹奏楽コンクールに出場する兄の応援のため8年前に普門館を訪れた「れおん」さんと、5歳の時のエピソードを紹介した「奥村博之」さんの投稿です。(タイトルは編集部)

あらゆる人を魅了する黒い舞台

2010年の秋、兄が全日本吹奏楽コンクール全国大会に出場したため、私は両親に連れられて初めて普門館に足を踏み入れた。中学受験勉強真っただ中で疲れていた私は、演奏を聴かずに寝ようと思っていた。しかし、高校生の演奏を聴いて衝撃が走った。美しい旋律、しなやかな動き、そして活き活きとした高校生の顔。私はいつのまにか見入っていた。吹奏楽の魅力に取り憑(つ)かれた。その時私は、吹奏楽が強い女子校に入学し、兄の学校を倒して普門館に出場してやる、と誓った。

中学受験を突破し、憧れの吹奏楽部へ入部した。しかし、普門館への道はそう簡単ではなかった。部活が休みになることは少なく、休みの日は朝から晩までひたすら楽器を吹いた。それだけ練習をしても、県大会すら突破できない年もあった。支部大会へ出場することができても、結局、全国大会への切符は一度も手に入れることはできなかった。

私が中学校に在籍している間に全国大会が開催される場所は普門館から名古屋へ変わったが、あの黒い舞台がなかったら私は吹奏楽をやっていなかったかもしれない。やっていたとしても、ここまで熱中することはなかっただろう。

吹奏楽の聖地が無くなることは非常に残念でならないが、あらゆる人を魅了する伝説の黒い場所として後世に伝えていければと思う。
(れおん・19歳女性・大学生)

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