新型コロナウイルスへの対応の中で 教えを支えに日々を過ごす会員たち(39)

新型コロナウイルスの感染拡大が続き、立正佼成会ではさまざまな集いを控えています。こうした中、会員はどのような思いで過ごしているのでしょうか。それぞれの場で精進を重ね、サンガ(教えの仲間)と心をつないでいる会員の声を紹介します。今回は、札幌北教会主任と熊本教会主任です。

相手の言動の奥にある思いに耳を

札幌北教会主任(61歳・女性)

今年7月、青年部の時から家族のように親しくしていた友人の十三回忌を迎えました。彼女は二人の子と夫のAさんを残し、病により44歳で他界したのです。私はAさんに、墓前で一緒にご供養をしたいとお願いすることにしました。

それを聞いた夫(66歳)は「Aさんと食事でもしようか」と言いました。しかし、全国で新型コロナウイルスの感染が急拡大していた時で、私は夫の危機意識の低さに驚き、提案を受け入れられませんでした。

その気持ちを馬場可隆教会長さんに伝えると、「そう思うのも分かるけど、表面的なことしか見えていないかもしれないね」とアドバイスを頂きました。ご供養を通して内省するうち、理由も聞かず、夫は軽率だと決めつけている自分に気づき、申し訳なく思いました。

改めて夫に意図を尋ねると、「Aさんの話をゆっくりと聞かせて頂きたいんだ」と話してくれました。夫も、他界した友人をよく知っていましたし、男手一つで家庭を支えてきたAさんを気遣いたかったというのです。夫の優しさに触れ、私は胸が熱くなりました。

Aさんは、私たちの依頼を喜んでくれました。ただ、感染者が急増していたため、相談の結果、それぞれでご供養をすることになりました。残念でしたが、Aさんと温かな触れ合いができたことを今も有り難く思っています。同時に、仏性礼拝(らいはい)の精神で、相手の言動の奥にある思いを聞かせて頂く大切さを実感できたことに感謝しています。

娘の言葉で素直に自身を省みる

熊本教会主任(74歳・女性)

新型コロナウイルス感染症が流行してから毎月、わが家のご命日のご供養を同居する娘とするようになりました。ある日、ご供養後に娘が、わが子の反抗に悩んでいると話してくれました。自分が強く当たってしまうことが原因ではないかと言うのです。話は私の性格にも及び、娘から「私も強いけど、お母さんも気が強いよね。お父さん、耐えきれなかったんじゃない?」と言われてしまいました。

夫は借金と女性問題を起こし、やがて離婚したのですが、女手一つで必死に育ててきた娘が、そんう思っていたとは知らず、驚きました。しかし、冷静に当時を振り返ると、〈家族に正しいことを言ってきたつもりだったけれど、自分の気持ちを押し付けてばかりで相手の気持ちを聞けていなかったのかもしれない〉と思えたのです。

自身を省みることができたのは、仏さまの前だったからかもしれません。娘に素直な気持ちを伝えました。すると、許すことができなかった元夫のことを初めて心から許すことができたのです。

二人の子供は思いやりのある親孝行な人間に育ってくれました。今ある幸せを考えると、過去の全ての出来事が必要だったのだと思え、元夫にも幸せになってほしいという気持ちになりました。

現在は、娘夫婦や孫に優しく接することを心がける毎日です。娘も頑張っているようで、孫の反抗もだいぶ落ち着き、こちらが変われば相手も変わると実感し精進させて頂いています。