心の悠遠――現代社会と瞑想

心の悠遠――現代社会と瞑想(6) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

社会問題と宗教の役割

2月18日より3月2日までの13日間、日本からの二人の僧侶と共にニューヨーク州北部の都市イサカを訪れ、現在、同地域で顕著に表れている過疎化とそれに関連したさまざまな社会問題、そしてアメリカを代表する問題である人権についての歴史を学んだ。私たち三人を迎えてくださり、親切丁寧に指導を頂いたのは、コーネル大学宗教学プログラムのディレクター、ジェーンマリー・ロー教授(以後、先生)である。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(5) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

日々を大事に、今この時を生きる

2019年1月6日、新年の第一日曜日である。米・ニューヨーク市のマンハッタン中心部にある精進料理の名店「嘉日 Kajitsu」で新年の坐禅会が開かれた。京都の名店、老舗京生麩専門店「麩嘉」を母体とする嘉日さんは、その本格的なしつらえと、何よりも上質な精進会席で多くのニューヨーカーの心をとりこにしてきた。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(4) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

法華経と白隠の「生きた遺産」

日本臨済宗中興の祖として知られる白隠慧鶴禅師(1686-1769)は、一昨年、250年遠忌を迎えた。今日、日本に伝わる「臨済禅」の法系は全て白隠下になるから、現在の「臨済禅」は文字通り「白隠禅」と言ってよい。その白隠が42歳のある晩、法華経の「譬諭(ひゆ)品」にまで読み進んだ時、ちょうど、コオロギの鳴く声を聞いて、豁然(かつぜん)として、最終的に大悟したといわれる。その声を聞いて白隠は初めて法華経の深意を悟ったという。そのことを『白隠禅師年譜』は次のように記している。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(3) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

マインドフルネスと禅

ここ数年の間で日本でもよく耳にするようになった「マインドフルネス」は、仏教から宗教色が排除されたアメリカ発祥の瞑想(めいそう)法などとも紹介され、逆輸入のような形で日本にもブームをもたらした。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(2) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

純粋な人間性が、心の奥底に

米・コーネル大学でアジア研究学の修士号、ならびに宗教学の博士号を取得後、私は、カリフォルニア大学バークレー校仏教学研究所やスタンフォード大学HO仏教学研究所、セント・メリーズ・カレッジで教壇に立ちながら、定期的にこれらの大学やシリコンバレーのGoogle本社、ヴァージン・アメリカ本社で「禅マインドフルネス」と名付けて坐禅会や茶道体験セミナーを開いてきた。

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心の悠遠――現代社会と瞑想(1) 写真・文 松原正樹(臨済宗妙心寺派佛母寺住職)

アメリカの宗教学に魅せられ渡米

2017年12月11日(月)早朝、米・ニューヨーク市マンハッタンの主要バスターミナル、ポートオーソリティー付近のタイムズスクエアにつながる地下通路で爆発があった。体に手製のパイプ爆弾を巻き付けていた容疑者の男は拘束されたが、容疑者のほかに少なくとも3人が負傷したと伝えられている。ポートオーソリティーは世界で最も利用者の多いバスターミナルで、一日約22万人もの利用者があるマンハッタンの交通の要の一つである。

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