〈ひと〉上智大学大学院で博士号を取得した三善康衣さん(44)

今の自分をつくってくれたのは、「コツコツ積み重ねること」と語る三善総務部長

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の総務部長であり、認定臨床宗教師の資格を持つ二児の母。仕事にも育児にも全力で取り組む中、今春、上智大学大学院で博士号を取得した。

大学院に入学したのは、WCRP/RfPへの理解をさらに深め、活動の促進に貢献したいとの願いからだ。研究テーマを考えていた時、結婚、出産、復職をする中で、周囲の配慮を理解しつつも、仕事や家庭の中で性別に基づく役割を求められる状況に疑問を抱いた経験から、ジェンダー研究の本を多読した。社会や働き方の仕組みが男性を中心に作られてきたことを知り、ジェンダーの視点からWCRP/RfPについて研究することを決意。6年間、夫の支えを受けながら早朝学習や夜間授業などに励み、『ジェンダーの視点からみた公式的な宗教間対話における代表制と構造的課題―国際的な宗教間対話組織Religions for Peaceを事例に―』と題した博士論文をまとめた。

自身が所属するWCRP/RfPでは、会議や大会での決議の際など、各宗教・宗派の高位指導者が採決する「代表制」を採っている。これは、合意形成を図りやすく、国際社会への影響力や信頼性を高める側面を持つ。一方、宗教組織内の権威構造や男性中心主義が持ち込まれ、ジェンダーの不均衡やヒエラルキーの容認といった問題につながりやすいという。

論文で比較事例に用いたのは、スイスで活動する女性たちの宗教間対話組織だ。個人参加を原則とし、国内の宗教に関する政策論争に対してジェンダーとマイノリティーの視点から提言活動を行う活動スタイルから、「WCRPが政府や国連に意見を伝える時、最も声を上げづらい人々の思いをすくい上げる存在であることが求められる」と思い至った。性の権利についてなど合意が困難な問題であっても、「同意できない、ということに同意する」という姿勢が、対話の可能性を開くのではと訴える。

小学生の頃にマザー・テレサの伝記マンガを読んで感動し、世界で困っている人のために働きたいと願った体験が原点だ。「自分を育ててくれた佼成会への感謝を胸に、毎日が“自己ベスト更新中”と言えるように努力を続け、平和の実現に少しでも貢献できる自分を目指したい」と穏やかな笑顔で語る。