ナイジェリア内紛の解決に貢献するKAICIID(海外通信・バチカン支局)

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武装集団による暴力が続くナイジェリアの現状

アフリカのギニア湾に面するナイジェリアでは全土で、聖戦主義を標榜(ひょうぼう)する武装組織による住民へのテロ攻撃が繰り返されている。身代金目当ての拉致事件も後を絶たず、時に数百人単位で行われたとも報じられている。中部や北西部では、遊牧民族と農耕民族の間で土地を巡る紛争も頻発しており、大量の犠牲者が出ている。

同国北部の住民を脅かしているのは、2002年に同地で結成された武装組織「ボコ・ハラム」の存在だ。西アフリカ内陸部で広く話されるハウサ語で、「ボコ」は西洋式教育を、「ハラム」は罪・禁忌を意味する。この組織は、キリスト教徒やキリスト教系の学校を攻撃し、2014年には、300人にも及ぶ女子学生を拉致した。さらに、自身の信条に賛同しないイスラーム穏健派の信徒たちまでも手にかける。一方、ボコ・ハラムから分派した「イスラーム国西アフリカ州(ISWAP)」を名乗る聖戦主義組織も同国北東部を中心に活動を拡大している。両者は支配地域や勢力圏を巡り、競合関係にある。

「ナイジェリア政府がキリスト教徒の迫害を阻止し得ない」と非難し、国防総省に対し、ナイジェリアでの軍事行動の準備を指示していた米国のトランプ大統領は、昨年12月25日のクリスマス、ナイジェリア北西部のイスラーム国(ISIS)のテロリストに対して「強力かつ致命的な空爆を実行した」と自身のSNSに投稿した。空爆はナイジェリア当局と連携して行われたとしているが、ナイジェリア政府にとっては、聖戦主義者たちがイスラーム教徒とキリスト教徒の双方を標的にするという複雑な状況だった。そうした中でナイジェリア政府は、信教の自由の擁護を主張するとともに、米国側の一方的な状況分析に異を唱えた。その上で、同政府は、過激派グループへの対策強化を念頭に、米国との安全保障協力を受け入れた。だが、国内の治安悪化は、米国の一時的な介入で解決する問題ではなかった。

同国北西部、カドゥナ州のナリドン村で今年7月下旬、武装集団が銃を乱射する事件が発生し、子ども8人を含む30人以上が死亡した。この村では昨年も、似たような武装集団による襲撃事件が起きていた。近隣に軍の基地と警察署があったにもかかわらず、どちらも介入しなかったという。この事件の背景には、遊牧民と農耕民の土地利用を巡る対立があるとみられている。同国では、聖戦主義を標榜する武装組織やその他の武装集団による市民への攻撃が続く。同国中部コギ州の州都ロコジャでは7月29日、カトリック司祭の遺体が路上で発見された。さらに、南東部アナンブラ州では8月2日、日曜礼拝中のカトリック教会に重武装した集団が乱入。神学生や信徒3人を拉致し、近くの森に逃亡した。

1990年にナイジェリアの首都アブジャの司教(94年に大司教区に昇格)に任命され、2012年にローマ教皇ベネディクト16世によって枢機卿に任命されたジョン・オナイエケン枢機卿は、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の国際共同議長を務めながら、諸宗教対話・協力の視点から、同国内で激化する対立の解決に向けて力を注いできた。19年に大司教の座を退き、アブジャ大司教区の名誉大司教となった今も、その努力は続けられている。

オナイエケン枢機卿は今年7月末、同国のテレビ局によるインタビューの中で、「ナイジェリア・カトリック司教協議会は国内の社会・経済情勢の問題点を的確に分析した報告書を公表したが、(ボラ・アフメド・ティヌブ)大統領はその内容を受け入れず反論している」と批判した。さらに、報告書の中で司教たちは、悪化する経済的苦境や治安、民主主義の現状について懸念を表明したが、大統領府の側近たちはティヌブ大統領に国民生活の窮状を正確に伝えておらず、「カトリック司教協議会が公表した報告書は、大統領の側近たちによる情報とは一線を画すもの」と言明。大統領府筋は、「オナイエケン枢機卿の発言は適切ではなく、国家機密に関わる」として非難した。

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