「実践的仏教」を探究して 学林創設60周年記念式典ならびに学林合同入林式(動画あり)

第二部のパネルディスカッションでは、参加者とセッションを行いながら、学林に対する思いや未来を創造するリーダーの在り方を議論した

創設60周年を記念してパネルディスカッションを開催

第二部では、『学林創設のビジョンと世界を変革し未来を創造するリーダー像』と題してパネルディスカッションが行われた。パネリストとして登壇したのは、WCRP/RfP国際名誉事務総長のベンドレイ博士、千葉大学大学院社会科学研究院長で学林講師の小林正弥氏、杉野恭一学林学長、大樹59期生の池田委世さん(24)=中野教会=の4人。光澍(予科)12期卒の和田惠久巳総務部長がコーディネーターを務めた。

WCRP/RfP国際名誉事務総長のウィリアム・ベンドレイ博士

冒頭、4人のパネリストが自己紹介を兼ねて学林に対する思いや未来を創造するリーダーについてコメント。ベンドレイ博士は、人間はあらゆるものと関係し合う存在であり、そうした認識を持つことがリーダーとして重要であると伝えた。また小林氏は、自身と本会との縁を振り返りながら、本会の若い世代が「非常に純粋な志」を持ち、誠実に真剣に世界の問題に挑戦しようとしている姿に「感銘を受けた」と吐露。世界の人を幸福にしたいという「実践的な問題意識」を持つ人々が共に学び合う学林の精神に共感を示した。

杉野恭一学林学長

次いで、杉野学長はWCRP/RfP国際副事務総長時代、ベンドレイ博士から多くの学びがあったと述懐。その一つとして、「これからの宗教者は第一言語と第二言語を持って、それを巧みに行ったり来たりしなければいけない」と教わったことを紹介した。第一言語とは宗教者としての言葉で、第二言語とは公共の言葉であると説明し、両方の言葉を理解した上で社会の問題を見据え、世界の課題に挑戦していくのが学林の使命であると述べた。最後に池田さんは、3カ月間、タイで英語を学びながら世界の諸問題に向き合うプログラムに参加していたことを報告した。

千葉大学大学院社会科学研究院長で学林講師の小林正弥氏

この後、参加者とのセッションが行われた。一番手でマイクを握った岡崎教会学生部長(35)は、入林生一人ひとりがリーダー像や目標を持って学びに来ていることを知り感動したと話し、「僕自身も皆さんと共に成長していけるような人間になっていきたい」と決意を述べた。これに、今年の入林生が応答。大樹61期生の女性(24)=知多教会=がマイクの前に立ち、本当に誓いの言葉を口にして良いものか不安になったが、共に学び合う仲間の存在を感じ、今は自分のことも周りのことも大事に思えると吐露し、「今この時が大事なのだと気づけた」と笑顔を見せた。

二人のやりとりを受け、小林氏がコメント。「万人リーダー主義」という言葉を挙げながら、リーダーというと代表のイメージが強いが、皆が自分にできること、関心がある分野でリーダーになりたいという気持ちを持って研さんをしていくことが重要であると投げかけた。

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