『ローマ教皇がCOP28への参加を断念』など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

核兵器廃絶を訴える米国と日本のカトリック指導者

11月27日からニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約の第2回締約国会議が12月1日、「人類の存亡に関わる核兵器の脅威に対処し、禁止と廃絶に取り組む」との決意を再確認した「政治宣言」を採択して閉幕した。

宣言文は、世界が核抑止論への依存傾向を強くしている現状を「遺憾に思う」と批判。核抑止論は世界の安全保障を脅かすだけでなく、核兵器使用の危険性を助長すると指摘した。

同条約には現在、93カ国・地域が署名し、69の国や地域が批准している。だが、核兵器保有国、主要7カ国(G7)首脳会議の構成国、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国は参加していない。日本政府は前回と同様、オブザーバー参加も見送った。こうした中、第2回締約国会議で採択された宣言では、被爆者、核実験の被害者、非政府組織(NGO)、国際機関、市民社会や科学者の共同体など、幅広い参加に謝意を表している。

バチカン市国は、核兵器禁止条約に世界で最初に署名した国だ。第2回締約国会議でスピーチしたバチカンのニューヨーク国連常駐代表を務めるガブリエル・カッチャ大司教は、核兵器のもたらす「人道的、環境的な大災害」という側面を指摘、核軍縮の「倫理的側面」を強調し、「核の抑止力ではなく、友愛と連帯を安全保障の基盤とするように」と訴えた。

また、米国の核実験や日本の被爆者救援に関連した米国都市、日本の被爆都市のカトリック司教5人も、第2回締約国会議を「希望、光、核兵器のない世界へ向けてのさらなる一歩」と評価する共同声明文を公表した。署名した5人は、世界初の核実験が行われ、実験による“ヒバクシャ”を出したサンタフェ市のジョン・ウェスター大司教、戦時中に強制収容されていた日系米国人の救援、日本人被爆者の受け入れや広島の再建に貢献したシアトル市のポール・エティエン大司教、カトリック長崎大司教区の中村倫明大司教、髙見光明同名誉大司教、カトリック広島司教区の白浜満司教だ。声明文の中で、「核兵器禁止条約の国際レベルでの法的拘束力は公式参加した国に限られるが、その道徳的拘束力は国境や地図上の境界線を超え、道徳的能力は、世界的、普遍的である」と訴えた。

シアトル、サンタフェ、広島、長崎の4カトリック教区は、「核兵器のない世界のためのパートナーシップ」を構成している。カトリック司教5人は、「全世界にあるカトリック教会の全教区に対し、世界で核兵器廃絶を求めるための対話、教育活動を展開し、祈ることを呼びかける新しいイニシアチブ」を実行する予定だという。

さらに、「世界の政治指導者たちに対し、2025年の広島と長崎への原爆投下80周年の機会に、核兵器廃絶に向けた確認できる進展を求める」パートナーシップの取り組みを紹介。5月に広島で開催されたG7サミットに対してアピールしたが、「ろう者への呼びかけとなり、何の返答も得られなかった」と、今回の共同声明文で落胆を表明した。

このパートナーシップは、今年8月に原爆投下78周年として広島と長崎を含む日本の5都市を回る「平和巡礼」を機に企画、実行された。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)