核兵器禁止条約第1回締約国会議に参加して 神谷昌道ACRPシニアアドバイザーら代表団メンバーに聞く

ICAN主催のフォーラムでは、2日間で40を超えるセッションを実施。科学者やNGO関係者ら約100人が核兵器の非人道性とリスクを訴えた

WCRP日本委 橋本高志平和推進副部長

第1回締約国会議に参加して、多くの学びを得ました。核保有国による核実験で周辺住民に健康被害が発生している事実や、ICANをはじめ諸団体の取り組みを知ることができ、WCRPが進めていくべき活動についても参考になりました。

ICAN主催の「核禁フォーラム」では、「自国が核実験をしていることは、知らなかった」――フランスの若者から、そんな声が聞かれ、ヨーロッパから“核なき世界”の実現を訴えられたことは、大変意義深いと感じています。

私が出席したワークショップで、イスラエルとイランの関係者が核廃絶に向けて、お互いをたたえ合いながら自身の活動を紹介していました。その光景を目にし、国同士は対立していても、市民が平和を望む心は同じだと実感するとともに、まず市民が核の現状を知ることが、核廃絶に向けた一歩につながるのだと確信しました。そして、そのためには草の根の運動を通じて、人々や政府へアプローチしていくことが重要だと改めて気づかされたのです。

残念ながら、日本政府は締約国会議に参加していませんが、被爆者をはじめ市民の方々のプレゼンテーションは人々の胸を打つものでした。私たちも皆さんと一緒に“核なき世界”の実現に向け、これからも平和活動に精いっぱい取り組ませて頂きたいと思います。

WCRP日本委 村山浩代スタッフ

本会議に先立ち行われたICANのフォーラムに参加しました。2日間、さまざまな発表やセッションが行われましたが、中でも印象的だったのは、核兵器の使用で生じる具体的な被害について学べたことです。当日は科学者たちが、被爆による人体への影響は、男性より女性、高齢者より子供の方が大きいことを、データを基に説明していました。単に「女性や子供が危ない」と言うだけでなく、こうした研究データを基に説得力のある情報が、正しく人々に伝わることが大切だと感じました。

また、オーストリア政府主催の会議も含めて全体を通して実感したのは、核兵器の被害者は世界各地にいるという現実です。会議では、オーストラリアやカザフスタンなど、核実験が行われた国の代表が、現地の写真を手にしてスピーチに立っていました。日本もこれまで、唯一の戦争被爆国として平和を訴えてきましたが、今後はさらに、世界の被爆者と共に声を上げていくことも大切になると感じました。

今回の会議には、日本から来た若者が参加し、現地の様子をSNSなどで積極的に発信していたことも印象的でした。私自身もよりオープンで丁寧な発信ができるよう、努力してまいります。