WCRP日本委 「ミャンマー人道支援の募金」に協力 全国の会員から総額4515万円の寄付集まる 杉野・同国際委副事務総長の談話も

クーデター後の犠牲者を追悼し、平和的解決を祈るマンダレーの僧侶たち(©INEB=仏教者国際連帯会議)

苦難の中にある人々に寄り添い、支えよう 平和への祈りを皆さまと共に

この一連の取り組みに、国連や国際社会からは大きな期待が寄せられていました。しかし、2月1日の政変により、中断を余儀なくされ、ミャンマーは再び大きな試練に直面することになったのです。平和のために尽力してきたミャンマー委員会の宗教指導者の中には、身の危険を感じて亡命せざるを得なかった人もいます。共に活動してきた仲間で犠牲になった人、逮捕・拘束された人もいます。それでも、彼らは、諸民族の融和、国民の和解に向けた対話の重要性を認識しており、国が再建される時に諸宗教協力が必要になると希望を捨てていません。

ただ、今回の政変とその後の弾圧を受けて国民は「軍政に戻ることはあり得ない」との思いを強くしており、現状では、人々が納得する形で国軍と対話を行うことは困難です。ミャンマーの宗教者は今、弾圧と新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で生命の危険にさらされている国民に寄り添い、困窮する人々を支えることに全力を尽くしています。

先日、ミャンマー委員会から、医薬品や物資の提供、恐怖を体験した人への心のケアに関する支援計画が示されました。安全に支援を実施するために内容を明らかにすることはできませんが、ミャンマー委員会がこれまで築いた国内全土に及ぶネットワーク、国際委員会の持つ隣国のNGOなどとのネットワークを生かした具体的な支援計画が挙がっています。

ミャンマーは厳しい状況にありますが、この試練の中でも“灯明”があるように感じます。それは、ロヒンギャ族を含めた少数民族とビルマ族との関係を見直し、互いを尊重していこうという機運が国民の間で高まっていることです。ミャンマーが本来持つ多様性という素晴らしさが発揮されるよう、私たちは人々に寄り添い、調和、融和を目指すこの新たな国づくりを支えていかなければなりません。

それには、具体的な支援とともに、「祈り」がとても大切です。日本委員会が6月下旬にオンラインで行ったミャンマーの平和を願う集いでのことです。このイベントをミャンマーの宗教者も視聴していたのですが、彼らは「日本の人々は、われわれのことを忘れていない」「祈ってくれている」と、大きな感動に包まれました。皆さまの心はミャンマーの方々に届いています。人々に思いを馳(は)せ、祈りを捧げて頂ければと思います。皆さまと共に、希望の灯を消さないように努めていきたいと願っています。