第七百三十九回波木井山円実寺川施餓鬼法要 庭野会長が参列し、「おことば」 コロナ禍の中でも新たな自分の発見を

波木井山円実寺の本堂で営まれた川施餓鬼法要で、焼香する庭野会長

8月19日、山梨・身延町にある波木井山円実寺(長谷川日喜住職)で「第七百三十九回波木井山川施餓鬼法要」が行われ、立正佼成会の庭野日鑛会長が参列した。さらに本会から國富敬二理事長、秀島康郎中部教区長、熊野隆規教務部部長、同教区の支教区長、山梨県5教会の教会長と会員代表が参加。鰍沢教会会員が受け入れにあたった。

円実寺は、鎌倉時代に甲斐国の波木井郷の領主であった波木井実長(南部六郎実長)公が日蓮聖人に帰依し、寄進した寺として知られる。川施餓鬼法要は、そばを流れる富士川の氾濫で多くの犠牲者が出た際、波木井公が日蓮聖人に請願し、法要を営んだことに由来する。円実寺と本会とは、昭和21(1946)年に庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖が同寺に立ち寄り、その後に寺の再興に協力して以来、親交を深めている。

同法要は一昨年まで、午前と午後の2回行われ、本会の50を超える教会から計1200人以上の会員が参加していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、昨年から法要は午前のみとし、参列者も少人数に限定した。また今年も、本部教務グループが動画共有サイトを使って法要の映像をライブ配信した。

当日は、僧侶によって謹写された3000体の塔婆(とうば)が境内に安置された。法要は午前11時から本堂で営まれ、読経、焼香、唱題に続き、僧侶による修法(祈禱=きとう)が行われた。

この後、長谷川住職があいさつ。新型コロナウイルスの感染状況に言及し、「現在、新型コロナウイルスは人々の心まで蝕(むしば)んでいるように思います。考え方の違いにより人々は争い、居心地の悪い世の中になっていないでしょうか」と語りかけた。その上で、「閻浮(えんぶ)の内の人は病の身なり、法華経の薬あり」という日蓮聖人の言葉を引用しながら、一心に題目を唱えて、偏った考え方を持たず、大きな慈悲で、全ての人が現在の難局を乗り越えられるように努めていくことが大事と話した。

続いて、庭野会長が「おことば」に立った。産経新聞の「朝の詩(うた)」に掲載された作品や、儒教にある「日日に新たなり」の言葉を紹介し、人は年齢を重ねながら毎日、「新しい自分」になっていると説示。コロナ禍の中でも、そうした気持ちを忘れずに過ごすことが大切と述べた。

本会と円実寺との交流

円実寺との交流は、昭和21年に庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖が七面山参拝の折、同寺に参詣したことに始まる。当時の本堂は古く、傷んでいたことから、その後、庭野開祖、長沼脇祖が「日蓮聖人の大恩人の波木井公のお寺をこのままにしておけない。私共も応援させて頂きます」と進言。やがて本会会員と檀家(だんか)信徒から浄財の支援がなされ、本堂が再建された。

以来、本会と同寺は親交を深め、庭野開祖が毎年、同寺の川施餓鬼法要に参列するようになった。平成8年の「波木井山開山・法寂院日圓上人第七百遠忌報恩(慶讃)大法要」に参列した庭野開祖は「お言葉」の中で、「日蓮聖人に帰依し身延全山を寄進した波木井公の精神こそ、私たちが見習うべき在家修行者の見本です」と述べている。